概要
その日、死神の夢を見た
普通ならピカピカの制服を着て中学校に通っているはずの私は、幼稚園の頃からずっと、白くて四角い病室のベッドの上で暮らしている。
原因不明の心臓の病気のせいで、私の世界のすべてはこの消毒液の匂いが染みついた部屋だけだ。
俯いていたら病気に負けてしまいそうだから、私はいつも意識して笑顔で、明るく振る舞い続けてきた。
そんなある日、隣のベッドの仲良しなおばあちゃん、静ちゃんが少し照れくさそうに教えてくれた。
「この歳になってバカみたいな話なんだけどね、ここ最近、夢の中に死神が出てくるんだよ」
笑いながら話す静ちゃんを、私は無理に笑顔を作って見つめることしかできなかった。
だって、言えるわけがなかったから。
――実はその日の朝、私も静ちゃんと同じ死神の夢を見たのだった。
※隔週月曜更新
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