概要
月を知らずに死ぬところだった。
「あなたの世界には、一つだけ欠けているものがある」
そう告げた女は、目が見えなかった。
退屈な毎日を生きていた三は、彼女と共に旅に出る。
欠けたものの名前を、知るために。
――いざ、完璧な世界へ。
そう告げた女は、目が見えなかった。
退屈な毎日を生きていた三は、彼女と共に旅に出る。
欠けたものの名前を、知るために。
――いざ、完璧な世界へ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!~「月を知らない世界」という問いの美しさ ~
2000字足らずの第1話だけで、これほど先が読みたくなる作品はなかなかありません。
最大の魅力は「月がない世界」という設定の詩的な必然性です。月は自分では光らず、他の光を借りて輝く——その説明が、退屈な毎日を生きる主人公「三」の姿と静かに重なります。欠けているのは夜空だけではない、という読後感が、短い文章の中にちゃんと宿っています。
「夢ノート」に書かれた三行目が何だったのかを明かさずに終わる構成も巧みでした。読者も三と一緒に「それは何だろう」と旅に出たくなる。そこへ盲目のヴァルの「私の目ではもう、叶わない」という一言が落ちてくる終わり方は、掴みとして申し分ありません。
文体は平易でテンポが…続きを読む