概要
前を向くために沈めたはずの記憶が、静かな部屋で一番私を苦しめる。
大好きな彼と別れた日の放課後のような、何もない部屋。
私の右手の薬指には、結婚にまでは届かなかったけれど、二人にとっては一番大切だった約束の証(ペアリング)が嵌まったままだった。
自分の足で新しい世界へ進むため、私は思い出の詰まった部屋の水槽に、そっと指輪を落として決別することを選んだ。
水面で乱反射しながら、綺麗に水底へと落ちていくリング。
これを沈めれば未練も消える。もう振り返らず、一人の大人の女性として強く前を向いて歩き出す。心でそう納得させていたはずなのに――『それ』を指から外してしまったことで、私は一番残酷な喪失感に気付かされてしまうことになる。
理屈では割り切れない、「別れ」と「取り残された記憶」の切なさを濃縮した掌編ドラマ。
私の右手の薬指には、結婚にまでは届かなかったけれど、二人にとっては一番大切だった約束の証(ペアリング)が嵌まったままだった。
自分の足で新しい世界へ進むため、私は思い出の詰まった部屋の水槽に、そっと指輪を落として決別することを選んだ。
水面で乱反射しながら、綺麗に水底へと落ちていくリング。
これを沈めれば未練も消える。もう振り返らず、一人の大人の女性として強く前を向いて歩き出す。心でそう納得させていたはずなのに――『それ』を指から外してしまったことで、私は一番残酷な喪失感に気付かされてしまうことになる。
理屈では割り切れない、「別れ」と「取り残された記憶」の切なさを濃縮した掌編ドラマ。
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