概要
名を「宵書堂(よいしょどう)」
頭巾を目深に被り、大きな背負い箱を担いだ底知れぬその男は、「本とは畢竟、毒や薬と同じでございます」と嘯き、人々に本を貸し与えていく。
宵書堂がもたらす本は、人々の隠された「業」や「真実」を無慈悲に暴き出し、時としてその運命を狂わせてゆく。果たして彼が処方する本は救いの薬か、それとも破滅の毒か。 好奇心旺盛なお蜜は、宵書堂が関わる奇怪な事件に巻き込まれながら、その答えを目撃していくことになる。
謎めいた人外感漂う貸本屋と、江戸を真っ直ぐに生きる茶屋の娘が織りなす、情緒と狂気の連作時代ミステリ!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!謎めいた貸本屋さんと勝気な少女が織りなす江戸ミステリーホラーの傑作
このお話の魅力はなんと言ってもヒロインのお蜜ちゃんが可愛いことです。ちょっと勝気な性格で、不幸を呼ぶ貸し本屋さんに、突っかかる所が良いですね。強い性格の裏側には、幼い頃にお母さんを亡くした悲しみを抱えている面もあります。またお父さんのお団子屋さんを手伝っている姿も健気で良いなあと思います。
そして、謎めいた貸本屋さん、アニメ化したら石田彰様でお願いします。糸目なんですよ。品があって、ちょっといい着物を着ている所が素敵です。会話は、曖昧な受け答えをして、話し相手の気持ちを揺さぶってきます。輪郭が無いのに芯に来るというか。
このお話、とっても面白いのに★が思ったより少なくて、本当にもう、あと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界観。物語。全てが最高です
舞台は江戸。
そしてこの物語の鍵は本です。
おそらくカクヨムを使う方々には、忘れられない一冊というものがあると思います。
それは、価値観を変えたり、救われたり、涙したり、絶望したり。心に大きな跡を残すそんな物語が胸の中にあるでしょう。
貸し本をきっかけとしたファンタジー小説なのですが、この物語を勧めたい点が江戸を舞台にしているところです。
有名な著者。太宰治や夏目漱石、森鴎外や宮沢賢治。それよりも遥か昔の人が書き綴った物語に焦点が当てられています。
もう、息を吸うだけで香りがしそうなほど作り込まれた世界感。名前も知らないような昔々の物語と、その物語に心を揺さぶられる人々。
たま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!貸本を主題とした、あたらしい時代劇
作品紹介を読んだ時、「銭天堂」「笑ゥせぇるすまん」のようなお話なのかな・・・? と思って読み始めました。
描かれるのは、情緒あふれる賑やかな江戸の町。本を愛する茶屋の看板娘。そして・・・謎めいた貸本屋。
五感の描写がふんだんに用いられ、文政五年の手触りが伝わってくるかの様な文体です。それでいて一文一文が読み易く、物語はテンポの良く展開してゆく。それらは全て、作者様の高い筆力の証左に他なりません。
私がこの物語に惹かれた最大の理由は、登場する物語が実在のものだということです。銭天堂のように、魔法の様な品々が超常現象を起こすわけではない。青空文庫で今も読める、江戸の町人文化で生まれた物語た…続きを読む