夜の街の空気感がとてもリアルで、気づけば夢中で読んでいました。懐かしさだけではない、少し苦くて切ない余韻が印象的です。派手だった頃と今の静かな現実の対比も、すごく心に残る作品です。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(298文字)
最初に失礼かますと技巧派といった感じではないです。例えば「夜の街の描写が綺麗!」とか「細かな心情の機微がすごい!」という感じではないんです。でも知りたいことが書かれています。むしろそういう技巧がないからこそ嫌にリアルな感じがあります。このキャラクターの語り、抜群に夜の街を生きた人の頭の片隅に残った記憶の回顧で、だからいいんですよ。夜の街との距離感について、知らない知りたいことが読みたい感じで書かれていました。おすすめです。
作者自身の名前も登場する、私小説要素を含む短編です。夢幻というシンプルなタイトルで少し損をしているかも知れませんが、これは私好みの大好物ハードボイルドです。過去の自分を吐き捨てるように語り、夜社会や土方現場を経た回想を、無機質で乾いた筆致で描きます。タイトルで目に止まらなければ、このレビューで手に取ってもらえることを願います。あ、こんなレビューじゃダメかな。でも、きっと心に残る一編になります。読んでください。
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