概要
これは、一人の青年が狐の姫と過ごした、夏の終わりの淡い恋物語。
これは、前の世より連綿と続くお話。
記録には残らない、遺ることのできなかった者たちの、悲しい恋物語にございます。
ときは現代。ところは三河地方、豊川山中のある農家。
意気軒昂なる三河武士の家柄である桑守葉蔵は、己のルーツなどいざしらず、ただただ古臭い己の名前に辟易していた。
彼は都会での生活に挫折、漫然と大学生活を送ることに無価値を見出し、帰郷していた。
二十二歳の夏、葉蔵は蔵の掃除を任されたときに己の先祖が桑守半兵衛葉蔵――すなわち、れっきとした武士であることを、眠っていた古刀を調べることで知る。
あるとき、彼のもとに奇妙な出来事が出来する。
妖怪――狐の姫の逃亡。そして、追手の怨霊の存在。
彼はその日を境に、鬱屈とした日々が急加速するように変わっていくのを感じ、悩
記録には残らない、遺ることのできなかった者たちの、悲しい恋物語にございます。
ときは現代。ところは三河地方、豊川山中のある農家。
意気軒昂なる三河武士の家柄である桑守葉蔵は、己のルーツなどいざしらず、ただただ古臭い己の名前に辟易していた。
彼は都会での生活に挫折、漫然と大学生活を送ることに無価値を見出し、帰郷していた。
二十二歳の夏、葉蔵は蔵の掃除を任されたときに己の先祖が桑守半兵衛葉蔵――すなわち、れっきとした武士であることを、眠っていた古刀を調べることで知る。
あるとき、彼のもとに奇妙な出来事が出来する。
妖怪――狐の姫の逃亡。そして、追手の怨霊の存在。
彼はその日を境に、鬱屈とした日々が急加速するように変わっていくのを感じ、悩
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