まず最初の一文目からやられました。表現の美しさと、比喩の潔白さと、諦観した主人公の人柄と、文章のリズム。どれをとっても「あ、読める、読みたい」のままに読み進んでいく。言っている内容は最初からきっと変わっていなくて、ずっと閉じこもって、自分を客観視しているようで、ただそんな気になっているだけかも知れない。おそらく読む人によって受け取り方は様々だと思います。ただ、その変わらない中身を、文章のリズム感、短文と長文の緩急、言葉選びの妥協のなさで読ませてくる。どこか音楽的で、詩を読んでいる中で気付けば終わっていた。そんなお話でした。
主人公は、自分の名前が持つ意味と、現在の自分の在り方との乖離に向き合い、自問自答を重ねていく物語です。真っ直ぐに見ようとしていても、どこか歪んでしまう人間臭さがいいスパイスでした。
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