概要
ただ、膜に覆われていた。
真冬のお話。
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- ★★★ Excellent!!!ボクらは幸せを願えなかった。
その美しさは寂しさを漂わせる冷たい、石碑のような文字だった。
人はどうしようもなく正直にはなれない。言葉を濁し、愛想笑いを浮かべ、のらりくらりと悪を赦す。
不器用なボクらは幸せを願えなかった。
自分こそは世界で一番の幸せ者なのだと振る舞うことを赦されなかった。子供の小さな手で掬えるものは少なく、一番大切であるはずだったものまで零れ落ちてしまう。
それがどうしようもなく悲しいんだ。
もしも力があったのならと望みはするものの、その力を手に入れることを恐れている。
勇気を持つことを恐れてしまった。
きっと、それが罪であり、罰なのだろうと。
ならばせめてもの贖いとして、ボクらは。
祈ろう。