概要
離れたら危険。近すぎると平常心がもたない。
星暦の異世界エルセア。
セレスト王国の王立異界巡察局に所属する新人巡察官アステル・ルミナスは、第一任務として高濃度の魔素に覆われた辺境マグノア公領グレイスハルへ赴く。ところが現地では、彼女の能力は最低出力ですら“山三つ吹き飛ばす”ほどに増幅され、まともな任務遂行すら不可能になってしまう。絶望の中で出会ったのは、周囲の魔素を不思議なほど静める“ぼくっ子”の少女ブリオ・フェリシアだった。ブリオがそばにいる時だけ、アステルの暴走寸前の力は初めて制御可能になる。
即席の相棒となった二人は、希少生物・月紋猫の密輸事件を追ううちに、辺境を騒がせる事件の背後に、帝国の陰謀と異常な魔素災害、そしてブリオ自身の出自に関わる巨大な秘密が潜んでいることを知る。触手で二人を引き離そうとする少女セリア、歪んだ絆で結
セレスト王国の王立異界巡察局に所属する新人巡察官アステル・ルミナスは、第一任務として高濃度の魔素に覆われた辺境マグノア公領グレイスハルへ赴く。ところが現地では、彼女の能力は最低出力ですら“山三つ吹き飛ばす”ほどに増幅され、まともな任務遂行すら不可能になってしまう。絶望の中で出会ったのは、周囲の魔素を不思議なほど静める“ぼくっ子”の少女ブリオ・フェリシアだった。ブリオがそばにいる時だけ、アステルの暴走寸前の力は初めて制御可能になる。
即席の相棒となった二人は、希少生物・月紋猫の密輸事件を追ううちに、辺境を騒がせる事件の背後に、帝国の陰謀と異常な魔素災害、そしてブリオ自身の出自に関わる巨大な秘密が潜んでいることを知る。触手で二人を引き離そうとする少女セリア、歪んだ絆で結
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!~ アステルとブリオ、本格版 ~
掌編「相棒とくっつかないと能力が暴走するので」で描かれたアステルとブリオのバディが、12万7千字・35話の本格異世界ファンタジーとして生まれ変わった作品だ。
掌編版との最大の違いは文体の質感だ。コメディ調の自己ツッコミが消え、代わりに「目に見えない何かが肺の奥まで入り込み、内側から身体をきしませるような圧迫感」という感覚描写が積み重なる。アステルの「強すぎる孤独」が笑いではなく、真摯な恐怖として描かれている。
既存レビューが指摘する「アステルは弱いから悩むのではなく、強すぎるから誰も守れないという矛盾の中にいる」という核心は第1話の時点で完成している。胃が痛いほどの第一任務で、誰かを守りたい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!強すぎる」と「足りない」がぴったり嚙み合う、至高のバディ物語
強さの孤独を主軸に置いた作品なのかな。
アステルは弱いから悩むのではなく、強すぎるから誰も守れないという矛盾の中にいる。その苦しさは新鮮かつ普遍的。
力を持つことと、それを力を使いこなすことは別問題だというのは府に落ちる。
ブリオとの関係の進み方も技巧的だ。
二人の距離が詰まる理由が物理的な必然として設定されているから、感情の接近が言い訳なしに描かれる。着替えの場面も、浴場の場面も、恥ずかしさと切実さが同居していて、甘さに溺れずに笑える。ブリオの秘密が明かされる湯気の中の会話は、この作品で最も静かで、最も誠実な場面だった。