王位を息子に譲った男の、静かなひととき。派手な出来事はないが、過去を振り返る言葉の一つひとつに重みがある。「身代わりの王」として生きてきた後悔と、守れなかったものへの想い。それでも傍らにあった妻の存在が、ささやかな救いとして描かれる。ハーブティーの香りや花の記憶といった細やかな描写が、心情を丁寧に浮かび上がらせるのも印象的。大きなドラマではなく、人生の終盤に訪れる静かな余韻を味わう一編。
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