概要
現像液の酸っぱい匂いと、鏡の中の赤い唇
写真部の暗室に漂う、酸っぱく金属的な現像液の匂い。
入部して半年になる鳴海透は、その匂いを嗅ぐたびに先輩・瀬川朱莉のことを思い出してしまう。
変わり者で、夜の学校を一人でうろつくという噂があり、彼女の撮った写真には「映るはずのないもの」が必ず写り込む——そんな話は、透も半信半疑だった。
ある夜、瀬川先輩に誘われ、廃墟同然の旧校舎四階へ忍び込む。
そこには古い鏡が一枚。
先輩がフラッシュを焚いた瞬間、鏡の中に長い髪の女が立っていた。赤い口紅を塗った唇だけが、ぼんやりと浮かび上がる。
「……やっぱりいた」
先輩は、まるで旧友に再会したような声でつぶやいた。
そのとき透は気づく。
先輩の唇も、今夜は同じ夜の色の赤だった。
暗室の匂いが、記憶と恐怖をゆっくりと現像していく——
入部して半年になる鳴海透は、その匂いを嗅ぐたびに先輩・瀬川朱莉のことを思い出してしまう。
変わり者で、夜の学校を一人でうろつくという噂があり、彼女の撮った写真には「映るはずのないもの」が必ず写り込む——そんな話は、透も半信半疑だった。
ある夜、瀬川先輩に誘われ、廃墟同然の旧校舎四階へ忍び込む。
そこには古い鏡が一枚。
先輩がフラッシュを焚いた瞬間、鏡の中に長い髪の女が立っていた。赤い口紅を塗った唇だけが、ぼんやりと浮かび上がる。
「……やっぱりいた」
先輩は、まるで旧友に再会したような声でつぶやいた。
そのとき透は気づく。
先輩の唇も、今夜は同じ夜の色の赤だった。
暗室の匂いが、記憶と恐怖をゆっくりと現像していく——
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