一行目から引き込まれました。日常の中に潜む、美しい幻想。幻想は幻想としての距離を保たねば消えてしまう無常と後悔。私はここまで美しい文章を読んだことが有りませんでした。短編としてのテンポ感がより美しさを引き立てます。とても面白かったです。
海岸をそぞろ歩いているとき見かけたのは、人品の卑しからぬ初老の男。それが望遠鏡を覗きつ、遠くに何かを見ている様子。手渡されたものを覗き込んでみたならば、海のかなたには現とも幻とも判別しがたい、不可思議な光景が……。蜃気楼のなかに踏み入ってしまったような、夢幻界とも此界ともつかないものを覗いたような。……ほら、あなたも、どうぞご覧下さい。
もっと見る