私に向いてない恋愛

緑心赤の

視える私は恋をする

「ねむっ……」

私は冴えない高校2年生。

坂田優香だ。

「おかーさん、行ってくるね〜。また放課後は遊んで帰るから」

そう家に別れを告げ学校へ行く。

「おはよ!」

「おはよ〜」

今挨拶してきたのは友達の青山紬(つむぎ)だ。

よく話す。

教室に着いて椅子に座る。

いつもうるさい。

心の声が。

(これから心の声は下記のように表記させていただきます)

『アイツだるっ』

『死ねばいいのに』

『めっちゃアリ!』

『これ楽しいか?w』

そんな中でもかなりヤバイ者がいる。

大森拓斗だ。

彼はクラスのリーダー的存在。

だが、心の声はーーー

『は?』

『つまんない』

『死んでよ』

という感じでどす黒い。

だが、私はそんな彼に恋をしてしまった。

心の声はともかく、ビジュ、性格、明るさ。

そこはピカイチだ。

なら彼はきっといい人になれるだろう。

「ねぇ、大森くん」

思いきって話しかけてみる。

「なに?」

あぁ、やっぱり笑顔が素敵だ。

頬が上がる。

目が三日月になる。

「あ…のさ、今日、帰りさ、はな、したいことあって」

この様子から分かるように私はコミュ障だ。

「なに?いいよ!」

こんなのだから彼はモテて、人気なのだろう。

その瞬間ドアが開く。

「はーい。朝のホームルーム始めまーす!」

担任の先生が入ってくる。

「特に〜…連絡事項はありません!」

ニッコリと笑って先生が言う。

「次、現代文だから準備しておくんだよ?」

そう残し、教室を出ていった。

『アイツなんだよ。勝手に話しかけてくんなよ』

大森が言う。

…やっぱ嫌な奴かもしれない。

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私に向いてない恋愛 緑心赤の @iamanon

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