短編集か、単話投稿か

 短編集を連載しながらPVと睨めっこ。

 その時ふと……気がついてしまいました。


 あれ……?

 短編集……意味無くない?


 さあ、検証開始です!(ウッキウキで草www)


◆テーマ1: 何故、短編集なのか。


 そもそも何で私は短編集で投稿しているんでしょうか?

 これはですね、私の読書経験が関係しています。

 

 私の大好きだった本に扶桑社の「魔法の猫」という本があります。フリッツ=ライバー「跳躍者の時空」を始め、海外作家の作品を集めたアンソロジーです。

 好きだったなぁ……本がボロボロになるまで読み返した。間違いなく私の小説観を作った本の一つです。


 何年か経って、じゃあ自分で書こうと思い立ち、手に取ったのが「小泉八雲集」「遠野物語」。


 それ以前、小説から離れていた時期にヘビロテしていたのが「びゃくさい怪談」、すなわち「洒落怖」です。


 ほら……短編集ばっかりなんですよ。

 てか、世の怪談って、大概ショート。

 結果、書籍はショートの詰め合わせに。

 

 もちろん長編小説もちらほら読んでました。

 でも私のベースは、短編集なんです。


 だからもう、脊髄反射で「短編集」と言う頭だったんです。


 ではそんなに好きな短編集、何故「意味がない」のか?


 

◆テーマ2.短編集の意義、単発投稿の意義


 以前、chat部長に同じ様な質問しましたが、改めて短編集のメリット・デメリットを、読者視点で聞いてみました。


 …………………………

 

【短編集】のメリット

 •似たテーマ、空気感の話をまとめて読める

 •まとめて読まれるので「世界観のファン」になりやすい

 •作者の“作品集”としての印象を強められる

 •「完結済み短編がたくさんある=読むハードルが低い」


【短編集】のデメリット

 •個別更新が埋もれやすい

 •Web小説サイトでは「話数が多い作品=長編」と誤解されることがある

 •読者が「好きな話だけ」をブックマークしづらい


【作者側の戦略で選ぶ短編集】


◇自分の“世界観やカラー”を見せたい

 → 短編集でまとめる方が向いている


 テーマや作風で「この作者の雰囲気好きだな」と思ってもらいやすい。

 あと、短編集って「本っぽさ」が出るので、クリエイターの印象が強くなる。

 

 

 …………………………


 私が気がついたのも、まさにこの点ですね。

 

 今書いている作品、テーマを軸に書いています。

 ですが、ネタバレすると「各話が実は繋がってた」みたいな伏線は張ってません。あくまでテーマを揃えただけなので、短編集のメリットを活かしきれていない。


 第2に、やっぱり一番読まれるのって「第1話」なんですよね。第2話以降は読者が減る。当然と言えば当然です。

 

 だから、これまで投稿した短編集が、単話投稿の羅列だったと考えると、

「もし2話以降の話を読んでもらえれば、読者に刺さっていたかも知れない。」

 と考えてしまう。


 だから「短編集は意味がない」と感じました。


 では続いて、単話投稿のメリット・デメリットです。


 …………………………


【単話投稿】のメリット

 •通知・更新が1話ごとに強く届きやすい(PVと反応が増えやすい)

 •1作ごとにタイトル・タグで読者を引き込める

 •バズった話が独立で伸びる

 •読者が読みたい話だけ読むスタイルに合う


【単話投稿】のデメリット

 •作品が散らばるので、作者の「作家性」が見えにくい

 •同テーマの短編でも繋がって見えない

 •後から読者が探しにくい


【作者側の戦略で選ぶ単話投稿】

 

◇より多くの読者に見つけてもらいたい、伸びたい

 → 単話投稿の方が圧倒的に有利


Webでは

「更新が多い作品」

「タイトルで刺せる作品」

「ジャンル別に検索される作品」

が伸びやすいので、短編は独立させた方がヒット率が上がる。

 

 …………………………


 圧倒的……と来ましたか。

 

 アラカルトが得意な私にとって、この助言は無視できません。

「web小説は投稿頻度」

 この言葉の意味を、やっと感じ始めました。


 単発作品「化物」を投稿した時に、何となく予兆はあったんですよね。今こうして検証してみると、単発投稿の強みを改めて認識しました。


 では私はこのまま、単話投稿に移って行くんでしょうか?

 

 ……いえ、正直悩みます。


 

◆テーマ3.長期目線で見た時の自カラー


 連載中の「おひとりさま」。

 メインストーリーにTIPSを添えることで、「一話で二度のフレーバー」という試みをしています。

 TIPSで情報を補完すると、メインストーリーの細部が見えやすくなると言う手法です。

 思いつきです(真顔)。


 でも、「思いつき」こそ、大事じゃないっすか?


 先日近況ノートでつぶやいたのですが、新作は勢いで書けます。思いつくままアクセル全開。

 単話投稿は基本これの繰り返しです。


 それはある意味で「制約の中で書く練習にはならない」と言うことではないでしょうか。


 私、たぶん専業小説家になる未来はほぼありません。

 そのこと自体は人生いろいろで割り切れるのですが、「自作が商業化されたら嬉しい」と言う素朴な願望は、当然あります。


 商業化って、あらゆる制約があるはずです。デビューしている諸先輩のXを見ていてもそれは感じる。

 だから、今のうちに練習しておくに越したことはない。


 それに、私は凡百の投稿者の一人です。

 文学のフロンティアを開拓し、新進気鋭な表現で世界を席巻する天才ではまったく無い。


 だから、ストーリーテリングを工夫して勝負する。

「よくあるストーリー」を、私の色で飾りつける。

 そのためには、思いついたものは貪欲に実践しなきゃいけないし、PVばかり気にして挑戦を疎かにしちゃいけない。

 

 そしてそれが、私の作品の「個性」「カラー」となる。

 

 だから、安直な考えで単話投稿に走るのは、違うかなあと思ってしまいます。


 でもそうすると、誰かがやってきて、こう言います。


「おいおい、taktak。

 お前さん、偉そうな事を言っているが、最高PV数はいくつかね?

 そういう偉そうな講釈は、せめてPVアベレージが1,000を超えてから言ったらどうだ?」


 ……ぐうの音もでません。

 おっしゃる通りです。

 

 偉そうに芸術家を気取るのは、結果を出してからっすよね〜……はぁ……。


 結局、どこに目的を置くか。

 どこまでが練習で、どこまでが本番なのか。

 選ばなくてはならないんでしょうね。

 いっぺんにこなそうとするから、悩むし方針がブレる。

 反省の毎日です。


 それに……AIとの戦いもあります。

 

 新作を次々だすという勝負を、AIと競ったらどうなるでしょうか?

 AIは読者の好みに合わせた作品を、果てしなく生成できます。書籍が消え、AIに物語を注文する日がもうすぐそこまできている……そんな意見も聞きます。

 

 そんな時代、小説家が「個性」に重きを置くことは、大切じゃないでしょうか。


 一旦、方針は保留します。

 今やってる事をちゃんと完遂する。大事です。


 愚痴に付き合っていただき、ありがとうございます。

 それではまた、次のコラムでお会いしましょう。

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読まれたい怪談作家、AIに乗せられて創作論を語る。 taktak @takakg

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