もしもカードゲームのキャラが意思を持ったら?
スクレ
第1話
「見ろよ達也!お小遣い貯めて、例のカードゲームのデッキセット買ったぜ。一緒にやろう!」
トレーディングカードゲーム、通称TDR好きの親友の洋介が最近発売されたTDRを買った。名前は〈侵攻のレヴィアタン〉といって、ファンタジーな世界観と幻想的なイラストが魅力的なTDRだ。
「このゲームはこれまでのTDRと違ってな、何とカードのキャラクターが意思を持ってるんだよ!」
どうやら意思を持ったキャラクターは、僕たちプレイヤー側と会話することが可能なのだそうだ。
「それじゃあ、説明がてらさっそくやっていこうぜ。例えば場にどのカードを出すか迷う時ってあるだろ?そういう時は……」
「Hey洋介!俺を出した方がここは相手が嫌がるだろうぜ!』
突然カードのキャラがアドバイスをし始めた。
「すごいねこのTDR!本当にキャラが意思を持っているんだ」
「すごいだろ?次は達也の番だ。何を出せばいいかわからなかったら、カードに聞いてみるといいぜ」
僕は洋介に言われた通りキャラにアドバイスを求めてみることにした。
「じゃ、じゃあ、この場合どのカードを出した方がいいと思う?」
すると数秒経ってから、一人のキャラが僕にアドバイスをくれる。
「ここは私を出して、体力回復に専念した方がよろしいでしょう」
まさに状況に合った的確なアドバイスだ。このTDR、どういう仕組みかわからないけどとにかくすごい……!
しばらくプレイしていて、今回は運よく僕が勝つことが出来た。
「ちくしょ〜!負けちまったか~!」
僕が初勝利の余韻に浸っていると、『よかったな洋介!』『私のアドバイスのおかげですわね』『見事な腕前だ』『この調子で次も頑張りましょう!』と、キャラクター達も一緒になって僕の勝利を祝ってくれた。
「はは、勝利をみんなで喜べるっているのは面白いねっ!」
僕がキャラたちと勝利を分かち合っている間、達也はというと、
『あそこは待たずに畳みかけた方が良かったですわいのう』『いや向こうのトラップは警戒してしかるべきだぜ』『最後のカードの引き次第ではこちらが勝っていたかもしれません』「だよな~、やっぱりあれが一番いい手だったわけで……」と、キャラたちと反省会を開いていた。
一ヶ月ぐらいはこの〈侵攻のレヴィアタン〉にハマってたと思う。ただ、やっていくうちにこのキャラが意思を持つというシステムには不便なところがあることが分かった。例えばこの前なんかは、
「(う~ん、ここをこうしてこれを出せばトドメだな)」と、頭の中で作戦を練っていると、『ね~え~、まだ余裕あるんだし、わ・た・し・を、使ってみな~い?』とちょっとエッチなイラストの女悪魔キャラが声をかけてきた。
「え、でも君はこの状況だとすぐに倒されちゃうんじゃ……」
『そんなこと気にせずに~、ちょっとだけ、遊びましょうよ~』
「(いや、現在進行形で遊んでる最中なんだけど……)」
こんな感じでよくわからない誘惑をしてきたり。また別の日なんかは、
「何でだよ、ちゃんと場に出て攻撃してくれよ〜」と達也がキャラとちょっとした言い争いになっている。
『悪ぃけど今日は気分じゃなくてよ。今日俺は【このキャラを召喚したターンは行動できない】って日なんだわ』
「お前いっつもそう言ってまともに攻撃したことないだろ!」
どうやらキャラの中には意思が強すぎるのもいて、まったくプレイヤーの言うことを聞かなかったりする。
どうやらそのようなシステムの不具合は全国から寄せられていたらしく、〈侵攻のレヴィアタン〉は発売からわずか半年たらずで販売中止となった。
もしもカードゲームのキャラが意思を持ったら? スクレ @joyjoy
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