妖しき砂の池の進化論。

幼い頃、公園の砂場で何をして遊んだ?
砂を掘ったり、逆に山を作ったり。
端っこにある水道から水をバケツに汲んで
来て、固めてみたり。

 砂場に木切れで絵を描いた。

大きな魚、小さな魚。描き始めると
止まらずに、まるで砂場が池になる。
 魚の他にも蛇を描く、蝸牛を描く、蛙の
未成熟な仔を描く。それは

 鉱物の最小単位に。
   未知の 水 を湛えては描き、
靴裏で踏みつけて。
 驚き跳ねる魚たちを尻目に。
砂の中を、円を描く様に泳ぎ回る魚たち。
ぐるぐると一定方向への運動を繰り返す。

それは、宇宙の陌間に湧き出ずる。

 星雲の収束にも似た、鯰と蛇と、様々な
水棲の者たち。彗星の如くに
    泳ぎ回り、波紋を広げる。
波紋は何処までも広がり、更に収束して
 
  遂に収斂して終息する。




「あしをかいて」


 突如、偽の進化は。

幼い怯えを伴って砂の池から逃げ果せる。


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