最初の一歩
マッグロウ
最初の一歩
――潮風
頬を
――夏の日
輝くような銀色の日差しを浴びて、私たちはいつも笑っていた。彼の隣にいるだけで、私の中からあふれ出す感情は、まぶしい光となって、汗となって、身体から弾け飛んでいった。でも、その光はもうない。私の夏は、あの日、突然終わってしまった。
――飲みかけのペットボトル
バッグの中で、パチャッと音を立てる。半分だけ残された焦げ茶色の麦茶は、もうすっかりぬるい。まるで、私たちの中に残った、半端な思い出みたいだ。捨てられずにいる、だけどもう飲み干すことはできない、そんな
――夕焼け
水平線は、どこまでも広がる濃い青色に、
――視界
不意に
――頬を伝う涙
ひんやりとした無色の風に触れて、熱を持つ。その熱が、私の心を少しずつ溶かしていく。あふれ出す涙と共に、胸の奥にしまい込んでいた彼の笑顔も、声も、全部、全部流れ出していく。
――影
涙で
―― 一番星
涙が止まったとき、目の前の景色は、もうすっかり紫から
――始まり
冷たい風が、乾いた瞳を優しく
――最初の一歩
私は、ぬるくなったペットボトルを手に取り、大きく息を吸い込んだ。そして、ゆっくりと一口、飲み干す。少し苦くて、でも、どこか懐かしい味がした。それは、かすみ色の過去と決別し、真っ白な明日へと向かうための、最初の一歩だった。
――夏の終わり
私は、もう一度水平線を見た。そして足元の
最初の一歩 マッグロウ @masamomo
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