その魔道具、貴方が触れて本当に大丈夫ですか?是非鑑定してもらいましょう

裏通りの魔道具屋に店を構えるアンナは、老婆の姿を借りているものの、その正体は……?
彼女のもとには、お客様が持ち込む神器級の品、古のアーティファクト、曰く付きの魔道具など、常識外れの代物ばかりが集まってきます。
鑑定だけでは終わらず、その魔道具にまつわる謎解きの要素まであるのです。

このあらすじだけでも、読者の興味を十分に刺激します。

「アンナはなぜ姿を偽るのか」
「次はどんな魔法の品が持ち込まれるのか」
「目の前の客は信用すべき相手か、それとも何かを秘めているのか」

読者は自然と勘繰り、想像し、先を読みたくなるでしょう。

「好奇心は猫を殺す」という少々物騒な言葉がありますが、好奇心とは元来人を前へ進める力です。謎というものは、誰しも抗い難く惹かれるもの。鑑定士アンナもまた、読者と同じく【魔道具に潜む謎】への知識欲と探究心に突き動かされているのかもしれません。

以前、骨董品を鑑定する仕事をしている方に取材した際、


「本物に触れた瞬間の震えるような高揚が、忘れられなくてやめられない」

と語っていたことがあります。
本作には、その“本物”が持つ恐ろしいほどの魅力、そして大いなる力に宿る代償が描かれています。

そうして物語が進むにつれ、読者は知るのです。普通なら喜ぶはずの「本物」が、時に「偽物であってほしい」と願うほどの意味を持ちうることを……。

この物語は魔道具だけではなく、読者の知的好奇心を鑑定する一作です。

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