第6話:寝息シンフォニー、まさかの転調
【SE:雨音はさらに強くなり、部屋の窓を叩く。】
【SE:兄の寝息が、わずかにリズムを変える。スゥ…ハァ…スゥ…ハァ…、が、スゥ…スゥ…ハァ…ハァ…という不規則なテンポに変わる。】
姉B: (小声で、真剣に)…ねぇ、妹ちゃん。聞いた?
妹A: (兄の顔をじっと見つめながら)うん…。寝息が、転調した…。
姉B: (興奮して)まさか、兄さん…! これが、世界を救う交響曲の「第二楽章」への移行だ! 第一楽章が「安らぎの夜明け」だとしたら、第二楽章は…!
妹A: (目を輝かせて)「波乱の序曲」だね! きっと、兄さんの夢の中で、宇宙皇帝としての試練が始まってるんだよ!
姉B: (真剣な顔で)…そうか! だから寝息が速くなったんだ! これは、宇宙パティシエとして、新しいケーキのレシピを思いついた時の、興奮のリズムだ!
妹A: (指揮者のように手を動かし始める)第一バイオリン、スゥ…スゥ…! チェロ、ハァ…ハァ…! うん! 間違いない! これは、壮大な「カスタードクリーム交響曲」だよ!
姉B: (耳元でさらに近づき)いや、待て! もっと聞いてみろ! スゥ…スゥ…ハァ…ハァ…の間に、チリッ…って、氷が溶ける音がする!
妹A: (ハッとして)あ…! 聞こえる! 聞こえるよ、お姉ちゃん! この「チリッ…」は…!
姉B: (得意げに)これは、氷の宇宙モールス信号だ! 兄さんの夢の中にいる、宇宙の同盟国から「頑張れ」って応援メッセージが届いてるんだよ!
妹A: (感動して、小声で)…兄さん、宇宙から応援されてるんだ…! なんか、私まで頑張れる気がしてきた!
姉B: (さらにヒートアップして)よし、妹ちゃん! 私も、兄さんの寝息に合わせて、宇宙の同盟国に返信を送ろう! スゥ…ハァ…! スゥ…ハァ…! これが「返信」だ!
【SE:姉Bが、兄の寝息に合わせて、自分の寝息をスゥ…ハァ…と真似る音。】
妹A: (真似しながら)私も! 私も返信する! スゥ…ハァ…! 『兄さんは、私たちが守る!』って、きっと届くよ!
姉B: (満足そうに)うん! 完璧だ! これで、兄さんは安心して、夢の中で大活躍できる!
妹A: (ふいに不安そうに)ねぇ、お姉ちゃん…。でも、このまま寝息が止まっちゃったら、どうしよう…。
姉B: (少し焦って)え…? 止まる…? …いや、そんなこと、あるわけない! これは「交響曲」なんだから、途中で終わるはずがない! もし終わったら…それは、兄さんが宇宙皇帝として、全てのミッションをクリアした「エンディング」だ!
妹A: (大げさに)エンディング! じゃあ、早くエンディングが見たい! でも、エンディングになったら、兄さんがいなくなっちゃうの…?
姉B: (頭を抱えながら)うーん…。そうだ! じゃあ、私たちが「アンコール」をすればいいんだ! 兄さんがエンディングを迎えたら、私たちが「アンコール! アンコール!」って言えば、兄さんの寝息がまた始まるはずだ!
妹A: (キラキラした目で)わかった! じゃあ、兄さんがエンディングを迎えるまで、私たちは、この寝息コンサートの観客として、じっと待ってよう!
姉B: (大きくうなずいて)うん! そして、エンディングを迎えたら、二人で盛大なアンコールを送ってあげよう!
【SE:二人が、じっと兄の寝息を聴いている、静かな時間。】
妹A: (小声で、ポツリと)…ねぇ、お姉ちゃん。
姉B: (静かに)…どうしたの?
妹A: …もし、兄さんの寝息が…「世界を救う」とか「宇宙皇帝」とか…そんな大げさなものじゃなかったら、どうする? ただ、本当に、疲れてるだけだったとしたら…。
姉B: (一瞬、言葉を失って)…っ! …それ、ズルいよ、妹ちゃん。
姉B: (気を取り直して、強がるように)でも、大丈夫だよ! もしそうだとしても…私たちは、兄さんの寝息から「世界を救う交響曲」を聞き取ったんだ! それは、兄さんが私たちに、そういう夢を見させてくれたってことだ!
妹A: (納得したように)…そっか! じゃあ、やっぱり、兄さんは宇宙皇帝だね! 私たちの心の中では、ずっと宇宙皇帝だよ!
姉B: (満面の笑みで)うん! よし、じゃあ、第6楽章「宇宙皇帝の凱旋」の始まりだ!
【SE:二人の声が、兄の寝息と混ざり合い、静かに消えていく。】
【SE:部屋に、静かで穏やかな時間が流れる音。】
いたずら大好き、双子の義妹と迎える朝 五平 @FiveFlat
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