明日から逃げさせてくれ

伯谷 陽太(ハカタニ ヨウタ)

PM 11:50

 暗い部屋。うっすらと辺りを照らすように、モニターから出るブルーライトで君悪く彩られていた。


 画面には23時50分。

 明日は月曜日だ。それなのにどうにも寝付けない。……サボればいい。学校なんて。

 ずっと頭の隅でそれがうごめいている。厄介な事に一度でもかんがえてしまったらこびりついて離れない。


 そうこうしていても、ただ時間だけが過ぎていく。何かやり残した。今日は自分が変われる日だった。

 あてもない想像だけが原動力。それすら失った。


 布団の上に転がる。学校には、行こう。

 どことなく焦燥と不安が募る。


 原因は、親から受け継いだ少しばかり生真面目な性分が、本来持って生まれた自堕落な性分とぶつかって板挟みになっている。

 その際でどうにも落ち着きがないのだ。


 今日やれることは明日も出来る。なんとなく願ってた。

 この時間に寝たとして、疲労は取れない。


 頭を強く掻きむしる。やっと、ぐにゃぐにゃとする思考を纏めた。

 時刻は0時を過ぎている。寝るか。モニターはそっと閉じた。


 しかし、布団に入ったとて眠りにつける訳もなかった。意識はいつまで経っても開いたまま。


 学校そのものが嫌いなんじゃない。周りが居れば必然に、無知で軟弱者である事実が浮き彫りになってしまう。そんな自分が腹立たしくて悲しい。


 帰りたい、帰りたい。念仏の如く唱えても、帰ってからする事でもあると言うのか。答えは否。

 無駄に時間を使って、それに後悔ばかりする。


 だから学校は好きだ。嫌でもやるべき物がある。やはり、自分のような自分自身を律するのが不可能である人間は強制されるのがあっている。

 とは語っても、プライドと表現すべきか。それすらおこがましい程の価値のない感情ばかりが溢れてくる。


 頭の中で自分に対する侮辱が駆け巡る。

 これは自分が大好きで仕方ないからだ。本当に嫌いだったら安っぽい言葉で傷つけるなんて逃げには走らない。


 そして安っぽい言葉も好きだ。自分をどこまで卑下すればプライドなり、矜持なり、多少の傷には気付かなくなれる。


 なんて現実逃避してる内に、カーテンの隙間から日の光が見え始めた。

 やり残したことは多分、全部だ。昨日という存在自体が受け入れられていない。

 やまずに進む事象に飾った言葉をつけても時間の流れにさらわれてしまうだけだ。


 今日、いや昨日の自分にはおさらばしたいのに。それが何年分と溜まっていて吐き出せそうにない。


 一丁前の後悔も、絶望も、寝て起きたら消えてる。だってそうしないと動くことすらままならない。


 今日がまた始まった。

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明日から逃げさせてくれ 伯谷 陽太(ハカタニ ヨウタ) @FU01JI03KI56

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