お嬢さまは、いじわるでございます

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 おやめください、お嬢様!見るんじゃない、このガキども!執事の仕事も、命がけでございます…

 お嬢様は、いじわるでございます。

 「マグロの解体ショーがあるなら、おバカの解体ショーはないのかなあ…?私、おバカな女の子だねって言われたことがあって、気になるんだよね」

 私は、そう言うお嬢様の執事を、命がけでやっておる男でございます。

 「ねえ、執事~?」

 「はっ!」

 「どう思う?」

 「そうですね…。失礼を承知で、申し上げますと…」

 「何?」

 「お嬢様は、どろりんちょプリンかと…」

 「何それ?私のことを、バカだと言いたいの?」

 お怒りお嬢様。

 どうしたって彼女は、この言葉に強く反応してしまう。

 「おバカ」

 ネット動画で、こんなセリフの出てくるドラマを視てしまったからか。

 「セレブは、おバカのはじまり」

 金持ちは、庶民の敵?

 「キ~、くやひい!…!私になすりつけられるおバカを、絶対に解体してやる!」

 彼女の気持ちが、変に燃え上がる。

 「解体」といって思い出されるのが、これ。

 「マグロの解体ショー」

 お嬢様も、執事といっしょにいったマーケットで見たことがあった。

 残酷といえば残酷かもしれないが、ハラハラドキドキ。

 そのことを思い出してか、お嬢様は、おバカの解体ショーをやる現場を建てるなどという計画を立ててしまった。

 金持ちなだけに、土地まで買い取って。

 「執事?解体するショーをおこなうステージを建設する予定地は、ここだから」

 「…お嬢様は、おバカでございますか?」

 「うっせえわ、うっせえわ!」

 「それ、なつかしいですな」

 建物が完成し、彼女をバカと呼んだがきんちょたちまでやってきた。

 彼女は、悪口を言われたことを思い出してごきげんななめ。

「さて、お嬢様?いかがなさいましょう?」

 「執事!」

 「?」

 「…あなた、バカじゃないの?」

 「ふぁっ?」

 「あなたがお手本を見せるときです!」

 「…?」

 お嬢様は、やっぱりいじわるでございます。

 「見て、がきんちょども!このお姉様よりおバカな人が、ここにいるよ?」

 「ホント?」

 「わ~い!」

 「わ~い!」

 「こら、ガキども!気高き執事の私を、いつまでも見るんじゃ…ぎゃ~!」

 お嬢様?

 おやめください。

 本当のおバカは、だれなのでしょうか。

 やっぱり、執事の仕事は命がけなのでございま…。

 「ぐふっ!」

 新しい執事の募集が、はじまった。

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