第2話 お狐が庭に住んでたんだ
「全く!全然なっていないではないか〜、しっかり汚れを落とすのだあぁぁ!!」バアァァンッ、ガッ、ドガァン!
祠の周りをワチャワチャと動き回る中で、掃除をするのは本当に大変だったんだ。泥がはねると怒るし、どいてと言うと尊敬が足りないとか言うし、ホントどっかにいってて欲しいと思ったよね。
まあ、なんとか相手をしながらやっと祠がキレイになったとこで、奴は満足して腹が減ったとか言い出したんだ。
「富子はどうした?なんで今日は来ないんだ!いつものお稲荷が食べたい!食べたいの!!」威張ってはいるが、ばーちゃんがいないのがちょっと心配そうというか、泣き出しそうだったんでちょっとかわいそうになって家の周りを探しにいくことにした。
....なんでか、奴もついてきてるんだが。できれば祠の前でじっとしてて欲しい....、文句がうるさいんだもん。
「ばーちゃーん?どこにいるのー???」と声をかけながら家の周りを一周したところで、ばーちゃんが、目をこすりながら家から出てきた訳。
「あら、早いわね。まだ6時過ぎよ?どうしたのー」
ばあちゃん、いつも5時くらいから起きて、なんか色々やってるじゃないの、今日に限って起きるの遅いよ。
「昨日の雨と風で寝れなくてねぇ、寝過ごしちゃった....ってあんた!ちょっと、だだだ大丈夫???」と、僕とお狐を交互に見て慌ててるから、やっぱりばーちゃんには見えてるんだな。ばーちゃんスゲェわ、知らんかった。
とりあえず、ばーちゃんには早く起きてしまった事、おこげの味噌おにぎりが食べたくてばーちゃんを探しに庭に出たこと、祠が酷い有様だったんで掃除してたらなんか変な奴が出てきたこと、など説明したんだ。お狐は自分の事を説明されてる時になんかワイワイ騒いでたけど、無視した。鬱陶しい奴だな、全く。
「まさか、お前がまた見れるようになるとはねぇー、ばーちゃんビックリだよ!」
と、まだ信じられないと言った様子で僕達を見ている。昔は見えてたの、知ってたんだな本当に。
「幼稚園に行くようになって、お前が他のことに興味を持つようになるまではこの庭の中でいつも2人で遊んでたんだよ。ていうか、お狐様がお相手してくれていたと言った方がいいかな。ウチはテレビもあまり見せないって言う両親の考えでほとんど見てなかったから、お狐様とばーちゃんの2人がいつも一緒にいたんだよねぇ....」
僕の両親は2人とも、公務員でいつも家にいなくて夜遅くまで働いてたからほとんどばーちゃんに育ててもらったんだ。本当真面目な親ってイメージ通りの2人だから融通効かないけどさ、勉強とか時間ない中で本当に丁寧に見てくれて2人のことは尊敬してる。
それでそれ以外の日常の事は、パワフルばーちゃんがなんでもやってくれてておやつとかなんでも手作りしてくれて寂しいとかは感じずに小学校も無事卒業できた。
中学校に上がってからは、周りのクラスメイトが携帯電話を持ち出してて、やっぱり自分も欲しいって話を両親にしたら以外にも許してくれたんだ。まぁ、子供が見れるような設定入れられてますけど!それでもわからないことが調べられるってすごいなーってなってめちゃくちゃ使ってるよね。
好きな漫画の背景とか、作者の事とか調べるものは尽きない。でも真面目な両親なんで普段は時間も制限されてたんだけど、休みの時には多少は甘く見てもらえるんで両親の仕事の間は調べたいこと集めておいて夢中で調べてるんだ。
.....そう、僕はオタクと言われる種類の人間らしい。
学校では、あまり話の合う友達がいない。ヤンキーなんかもうそもそも会話が成り立たないし、オシャレな奴はなんか引いてしまうし、オタクな奴はいても求めるところが違うとなんか、こううまくいかないって言うか。
そんなわけで、夏休みなのに1人毎日ゴロゴロしてるってことだったんだ。そう、今日まではね....。
「さて、そろそろ朝ごはんでも作りましょうか!お狐様にはお稲荷さんだね、そしたら惣太は何が食べたいの?」
「お釜で炊いたおこげのとこの味噌おにぎり!!!」
そう、僕の特別な夏休みが、鈴木惣太の一生忘れられない夏休みが今日から始まったんだよ。
うちの庭に住んでる神様のお使いが、ニート満喫中なんです まうにゃろ @heavydrinker666
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