第2話
ヴァルディア帝国の王家は、僕がこれまでに築き上げてきた物語とは異なる、より強固な「語り」によって成り立っていた。それは、この世界の法であり、歴史であり、そして何よりも絶対的な「真実」だった。僕が操る虚構の語りとは、根本から異なる構造を持っていた。
僕は、王家を僕の物語に取り込むため、リュミエールの手引きで王宮に潜入した。僕を案内したのは、王族の中でも異端とされる「語りの再生者」リュミエールだ。彼女の目は、僕の語りに秘められた可能性を信じているように見えた。
「あなたの言葉は、この王家を覆す力を持つ。どうか、私たちの語りを再生させて」
彼女の言葉は、僕がここに来た目的を再確認させた。僕の目的は、この王家を騙し、支配すること。だが、彼女の言葉は、僕の物語が単なる詐欺ではないことを示唆しているようだった。
語りの観測者
僕が最初に出会ったのは、第二王子ノクスだった。彼は、語りを感情や意味ではなく、純粋な周波数や構造として解析する科学者だ。
「あなたの語りは、不安定な周波数を放っている。だが、その周波数は、未来の事象と共鳴している。これは、科学的に興味深い」
彼は、僕の語りを「予測モデル」として分析し、僕にこう問いかけた。
「あなたの語りは、なぜそんなに人々を惹きつけるのか? その構造を、私に教えてくれないか?」
僕は、彼に微笑んで答えた。
「僕の語りは、人々が聞きたい言葉を語るだけです。それは、真実よりも美しい、虚構という名の科学ですよ」
僕の言葉に、ノクスは納得したような顔をした。彼は、僕の虚構を科学という名の現実で捉えようとしていた。僕は、彼の論理的な探求心を利用し、王家内部の情報を引き出していった。
語りの封印者
次に、僕は王妃セリフィーナと対峙した。彼女は、かつて語りによって家族を失った悲劇を経験し、沈黙こそが人々を守る唯一の道だと信じていた。彼女の表情は、深い悲しみを湛えていた。
「あなたの語りは、危険です。それは、かつてこの世界を崩壊させた魔術師の語りと、同じ匂いがする」
彼女は、僕の言葉を「虚構」と呼び、僕を拒絶した。だが、僕は彼女の悲しみを逆手に取った。
「王妃様、あなたの悲しみは、この世界の真実です。僕の語りは、その真実を書き換えることはできません。ですが、その悲しみを、少しだけ楽にすることはできる。嘘という名の優しさで」
僕の語りは、彼女の心の奥底に眠る痛みに触れた。彼女は僕を警戒しながらも、僕の言葉に耳を傾けるようになった。僕は、彼女の「語りの痛み」を理解することで、彼女の心を操り、僕への不信感を少しずつ取り除いていった。
語りの支配者と逸脱者
そして、僕は王・アストレイア四世と対面した。彼は、この世界の語りの秩序を維持することを使命としている。彼の語りは、僕がこれまで築き上げてきた虚構を、一瞬で破壊する力を持っていた。
「貴様の語りは、秩序を乱す逸脱だ。この世界の真実は、王である私が語る。貴様の嘘に、人々を惑わせることは許さない」
王の言葉は、僕の虚構を破壊する剣だった。僕は、王の語りに対し、僕自身の「語りの編集」の力を最大限に発揮し、王の語りの矛盾点を突いていった。
「王の語りは、この世界の過去を語るだけのもの。しかし、僕の語りは、この世界の未来を語る。どちらが、人々にとっての真実でしょうか?」
僕の言葉が、王の語りの支配に亀裂を入れた。その時、王宮に一人の女性が現れた。追放された第三王女、ミレイユだった。
「語りは誰のものでもない、だから奪える」
彼女はそう言い放ち、僕の語りの暗黒面を体現していた。彼女は、僕の鏡像であり、僕が無意識に行ってきたことの倫理的側面を、明確に突きつけてきた。彼女は僕に共闘を持ちかけ、王家を破壊しようと誘う。
僕は、この王家との対決を通じて、僕自身の「語り」が持つ倫理的な問題、そしてその力が持つ真の破壊力に直面した。そして、僕の物語は、この王家の内部で分断された「語り」の継承者たちを巻き込みながら、新たな局面へと進むことになった。
追放された第三王女、ミレイユの登場は、僕の計画を大きく揺るがした。彼女は僕の語りの暗黒面、すなわち「語りは誰のものでもない、だから奪える」という思想を体現していた。彼女は僕の鏡像であり、僕が無意識に行ってきたことの倫理的側面を、明確に突きつけてきた。
「私たちの語りで、王家を破壊しましょう」
ミレイユはそう言って、僕に共闘を持ちかけた。彼女の言葉は、僕がこの世界で成し遂げようとしている「国盗り」という物語の、最も直接的な道筋を示していた。
僕は、彼女に微笑んだ。
「王女様、あなたの語りは、僕の物語を完成させるために、不可欠です」
僕は、彼女の力を利用することを決めた。彼女の持つ「語りの逸脱」の力は、王の絶対的な語りを打ち破るための最高の武器となる。そして、彼女の思想は、僕の物語に、より深いリアリティを与えるだろう。
僕とミレイユは、王宮の裏庭で密談を重ねた。僕は、僕がこれまでに築き上げてきた物語、すなわち「語りの紙幣」や「魔王の予言」を彼女に語った。彼女は、僕の語りを理解し、その完璧な虚構に歓喜した。
「素晴らしいわ、鍵山誠! あなたの嘘は、この世界の真実を破壊する。私たちは、この世界の語りを、私たちのものにするのよ」
彼女の目は、欲望に満ちていた。彼女は、王家の秩序から解放され、自由に語りを操ることを望んでいた。
しかし、僕は彼女の言葉に、一抹の不信感を抱いた。彼女は、僕の共犯者として振る舞っているが、彼女の目的は、僕の力を利用し、僕をも欺くことかもしれない。詐欺師の勘が、そう告げていた。
僕は、彼女を警戒しながらも、共同で王を欺くための「物語」を構築し始めた。それは、王家内部に潜む「裏切り者」の存在を匂わせるものだった。
僕とミレイユは、王宮の書庫に侵入し、王家の歴史が記された古い書物を調べた。そして、その書物の中に、僕の語りに都合の良い「矛盾点」を見つけ出した。
「王の語りは、歴史を書き換えている。これこそが、王の語りの虚構を証明する証拠だ」
僕は、その矛盾点を巧みに利用し、王家内部の権力闘争を煽る噂を流した。僕の語りは、王家の忠臣たちの心を揺さぶり、彼らの間に不信の種を蒔いていった。
そして、僕たちは、王に直接対決を挑んだ。王は、僕とミレイユの共闘に驚きを隠せなかった。
「ミレイユ、貴様は、この男に騙されている。この男の語りは、虚構だ!」
王は、僕の語りを「嘘」だと断定した。だが、ミレイユは王の言葉に耳を貸さなかった。
「真実など、どこにもないわ。あるのは、語りの力だけよ」
ミレイユはそう言い放ち、僕の語りに共鳴した。彼女は、僕の虚構を「真実」として受け入れ、僕と共に王の語りを打ち破ろうとした。
僕とミレイユの語りが、王の絶対的な語りにぶつかり合った。王の語りは、この世界の秩序を維持する力を持っていたが、僕たちの語りは、その秩序を破壊する力を持っていた。
そして、僕たちの語りは、王の語りを打ち破った。
王は、僕の語りの力に打ちひしがれ、その場に崩れ落ちた。僕の国盗りの物語は、成功した。
しかし、僕は、ミレイユの顔に浮かんだ、勝利の笑みを見て、確信した。彼女の目的は、王家を破壊することだけではない。僕をも欺き、僕の語りを奪うことなのだと。
僕は、この世界を騙したが、僕はまだ、彼女に騙されてはいない。
王の絶対的な「語り」を打ち破った僕は、勝利の余韻に浸る間もなく、ミレイユの次の手に警戒していた。彼女は僕の鏡像であり、僕が築き上げた物語を奪う存在になり得る。しかし、僕は彼女を出し抜くための新たな「物語」をすでに構築していた。
王家との戦いの後、僕の元には、様々な思惑を持つ女性たちが集まってきた。彼女たちは、僕が語りによって成し遂げた革命に、それぞれの物語を見出していた。
最初に僕の前に現れたのは、街の薬師ミナだった。
「嘘つきさん、やりすぎよ。こんなに大きな嘘をついたら、いつか自分が壊れちゃうわ」
彼女は、僕の顔色を心配するように覗き込み、癒しの薬草を差し出した。ミナは、僕の語りを「病を治す薬」に例えたが、同時にその副作用も理解していた。彼女の存在は、僕がこの物語を続ける上で、僕自身の精神的な安定剤になるかもしれない。僕は、彼女の優しい忠告に、ほんの少しだけ本心を覗かせた。
「大丈夫です。僕の嘘は、誰かを救うためのものですから」
僕はそう言って微笑んだが、その言葉がどこまで真実だったのか、僕自身にもわからなかった。
次に僕の元に訪れたのは、神殿の巫女エルネアだ。
「あなたの言葉は、まさに神の啓示でした。語りの力で、世界に平和がもたらされるのです」
彼女の目は、純粋な信仰に満ちていた。彼女にとって、僕の語りは神聖なものであり、僕の行動はすべて、神の意志なのだ。僕は、彼女の信仰心を利用し、僕の物語をこの世界の宗教的な基盤として確立させようと決めた。彼女の存在は、僕が王に代わって、人々の心に新たな「真実」を植え付ける上で、不可欠だった。
そして、僕が王宮の一室で休んでいると、リュミエールが静かに姿を現した。
「あなたの語りは、私の禁じられた歌と共鳴したわ。この王家の沈黙を破り、語りを再生させてくれて、ありがとう」
彼女は、僕の勝利を冷静に分析しながら、感謝の言葉を述べた。彼女は、王家の厳格な秩序から逸脱した「語りの再生者」として、僕の物語に未来を見出していた。彼女の知性と、僕の詐欺師としての才能が組み合わされば、この世界の政治は、僕の思い通りになるだろう。
最後に、僕の前に現れたのは、盗賊団の女頭領カリナだった。
「お前さん、やったな! やっぱり、あんたの語りは、俺様を飽きさせないぜ!」
彼女の豪快な笑い声が、王宮の厳粛な雰囲気を打ち破った。彼女は、僕が築き上げた物語を、ただ純粋な「面白さ」として評価していた。彼女の存在は、僕の物語に、言葉だけではない「力」を与えてくれる。僕は、彼女を僕の物語の最前線に置き、僕の命令を実行させるつもりだった。
僕は、彼女たち一人ひとりと、言葉を交わした。それぞれの女性が、僕の語りに独自の意味を見出し、僕の物語の欠片となっていく。
ミナは僕の「良心」を、エルネアは僕の「信仰」を、リュミエールは僕の「知性」を、そしてカリナは僕の「力」を象徴していた。
僕は、彼女たちを巧みに操り、僕の国盗りの物語を完成させるつもりだった。しかし、僕は知っている。彼女たちもまた、僕という存在を、彼女たち自身の物語のために利用しようとしていることを。
この虚構の調和は、いつまで続くのだろうか。
僕は、これから紡ぐべき、新たな物語に思いを馳せた。
僕は、王家との戦いの勝利に酔うことなく、次に紡ぐべき物語に意識を集中させていた。ミレイユとの共闘は、一時的なものに過ぎない。彼女は僕の物語を破壊する存在になるかもしれない。そして、ミナ、エルネア、リュミエール、カリナ……彼女たちもまた、僕の物語を自らの思惑で利用しようとしている。
僕は、権力を手に入れた今、新たな「虚構」を構築する必要があった。それは、僕がこの世界を統治するための、より大きな物語だ。
僕は、まず民衆の支持を確固たるものにするため、新たな法を制定すると発表した。それは、僕が発行した「語りの紙幣」を、この世界の唯一の通貨とするというものだった。この法によって、王家が発行していたヴェル金貨は無価値となり、僕の語りが、この世界の経済を完全に支配することになる。
しかし、この法には、大きな反発が予想された。ヴェル金貨に価値を見出していた人々、そして、王家に忠誠を誓う者たちだ。僕は、彼らの反発を鎮めるための「物語」を語り始めた。
「ヴェル金貨は、王の語りによって価値を保証されていました。しかし、王の語りは、皆さんの希望を語るものではありませんでした。皆さんの希望を語る『語りの紙幣』こそが、この世界の真の通貨です」
僕は、この物語を、ミナを通じて街の隅々まで広めていった。彼女は、僕の言葉を「病を治す薬」として人々に与え、僕の新しい法を、人々の生活を豊かにするためのものだと信じ込ませた。
一方で、僕はエルネアの協力を得て、僕の語りを「神の啓示」として、人々の信仰に深く根付かせた。
「語りの紙幣は、神が人々に与えた、未来への希望の証です」
彼女の敬虔な言葉は、僕の虚構に、神聖な意味を与えた。これにより、王家への忠誠を誓う者たちも、僕の物語を拒絶できなくなった。僕の語りは、もはや政治や経済の問題ではなく、信仰の問題となったのだ。
そして、僕はリュミエールの知性を利用し、王家の権力構造を分析させた。彼女は、僕に王家内部の人間関係や、彼らの弱点を記した膨大な情報を提出した。僕は、その情報を元に、王家に潜む「裏切り者」の存在を語り始めた。
「王家に潜む裏切り者が、この世界の真実を隠し、人々の希望を奪おうとしている」
僕の語りは、王家内部の忠臣たちの間に、不信の種を蒔いた。彼らは、互いを疑い、内部分裂を起こしていった。
最後に、僕はカリナに、王家に忠誠を誓う者たちの排除を命じた。
「お前さんの語りに従うのは、俺様だけじゃねぇ。俺様の子分たちが、その言葉を現実にしてやるぜ」
彼女の豪快な笑い声は、僕の命令が実行されることを告げていた。
僕は、僕の物語に、それぞれ異なる意味を見出した女性たちを操り、この世界のすべてを、僕の掌の上に置こうとしていた。
僕の国盗りの物語は、始まったばかりだ。
僕は、ヴァルディア帝国を掌中に収めた。僕の語りは、通貨、信仰、そして権力といった、この世界のあらゆる基盤を掌握した。しかし、僕の物語は、まだ終わっていなかった。僕の目は、この世界のさらに外側、人々が「魔界」と呼ぶ未知の領域に向けられていた。
魔界とは、この世界の人々が最も恐れる「魔物」が蔓延る場所だ。だが、僕にとって、魔界は恐怖の対象ではない。それは、僕の「語り」がまだ届いていない、手つかずの新しい市場だった。
僕は、僕の協力者たちを前に、新たな計画を発表した。
「我々は、魔界へと進出する」
僕の言葉に、リュミエールは眉をひそめ、ミナは心配そうな顔をした。カリナは面白そうに笑い、エルネアは神の意志だと信じ込んでいた。それぞれの反応は、僕の物語が持つ多面性を物語っていた。
「鍵山様、魔界には『語り』がありません。あなたの言葉が、通用するのでしょうか?」
リュミエールは、冷静に僕の計画の弱点を指摘した。彼女の言う通り、魔界では言葉よりも物理的な力が支配している。しかし、僕はすでにその弱点を補うための物語を構築していた。
「魔界には、言葉がない。だからこそ、我々の『語り』が、彼らの心を支配する。そして、我々には、言葉を力に変える術がある」
僕は、カリナを見た。彼女の盗賊団は、僕の物語を現実にする力を持っていた。僕は、彼女の力を利用し、魔界の魔物たちを僕の物語の「兵士」に変えるつもりだった。
カリナの盗賊団を魔界の偵察隊として送り込む。彼らは魔物たちの生態を観察し、僕にその情報を報告する。僕は、その情報を元に、魔物たちが何を欲し、何を恐れているのかを分析する。それは、僕が詐欺師として、ターゲットの心を探っていた作業と同じだった。
そして、僕は、魔界の魔物たちを動かすための「物語」を構築し始めた。
「魔物たちは、自分たちの存在を理解してくれる『語り』を求めている」
この虚構を、僕はエルネアを通じて「神の啓示」として、この世界の人々に広めた。僕の物語は、人々の魔界への恐怖を、探求心へと変えていった。
僕は、魔界に乗り込むための「語り」を練り上げた。それは、魔物を支配するための言葉であり、彼らを僕の物語に組み込むための契約だった。
僕の語りは、この世界のすべてを支配するだろう。だが、それは単なる征服ではない。僕の語りは、この世界のありとあらゆる場所に「真実」という名の虚構を植え付け、僕だけの物語を完成させるための、壮大な錬金術だった。
僕は、この世界のすべてを、僕の物語で満たしていく。
僕は、魔界へと続く道を進んでいた。僕の隣には、物珍しそうに周囲を見渡すカリナ、心配そうな顔をするミナ、冷静に地形を分析するリュミエール、そして神託を待つ巫女のような表情のエルネアがいた。彼女たちは、僕の「魔界侵略」という物語の、それぞれの役割を担っていた。
リュミエールが示した魔界への入り口は、巨大な岩壁に隠された洞窟だった。その洞窟からは、かすかに異臭が漂い、不気味な気配が感じられた。
「鍵山様、この先は、言葉が通じません。言葉を持たない魔物と、どう交渉するおつもりですか?」
リュミエールは、冷静にそう尋ねた。彼女の言う通り、魔界では僕の「語り」が通用しない可能性がある。だが、僕はすでに、そのための準備をしていた。
「言葉が通じないなら、言葉ではない『語り』を使います。僕の語りは、言葉だけじゃない。感情、欲望、そして恐怖を操る、より根源的なものです」
僕は、懐から「語りの記録石」を取り出した。そして、僕がこれまでこの世界で紡いできた虚構の物語を、石に記録していった。
洞窟の奥へと進むと、魔物たちが現れた。彼らは、人間を見た途端に襲いかかってきた。
「お前さん、本当に言葉だけでどうにかするつもりか?」
カリナは、面白そうに僕に尋ねた。彼女は、いつでも戦闘態勢に入れるよう、ナイフを握りしめていた。
「ええ。彼らには、彼らが聞きたい『物語』を語ってあげます」
僕は、魔物たちに、僕の「語りの記録石」を向けた。石から放たれた光が、魔物たちの脳裏に直接、僕の語りを送り込んだ。それは、僕が過去に築き上げてきた、最も効果的な詐欺の物語だった。
――お前たちは、この世界から追放された。だが、それはお前たちのせいじゃない。この世界の人々が、お前たちを理解できなかったからだ。お前たちは、ただ『居場所』を求めているだけだ……
僕の語りは、魔物たちの心を揺さぶった。彼らは、攻撃を止め、僕を警戒しながらも、僕の言葉に耳を傾けるようになった。
僕は、彼らに、僕の「嘘」を語り続けた。
――お前たちを理解する者は、この世界にはいない。だが、俺は違う。俺は、お前たちに、この世界での『居場所』を約束しよう。俺の語りに従えば、お前たちは、この世界に受け入れられる……
僕の言葉は、魔物たちにとって、彼らが最も欲していた「物語」だった。彼らは、僕の言葉に心を奪われ、僕の物語を信じ始めた。
「彼らは、あなたの言葉を信じています。まるで、神の奇跡のようです」
エルネアは、僕の語りに感動していた。彼女にとって、僕の行動はすべて、この世界の平和を築くための神聖な行いだった。
しかし、僕は知っている。これは神の奇跡なんかじゃない。これは、僕が詐欺師として培ってきた、最も高度な「人心掌握」の技術だ。魔物たちは、僕の虚構を「真実」だと信じ込んでいる。
僕は、魔物たちを僕の物語に組み込み、彼らを僕の兵士とした。僕の語りは、もはや人間だけではなく、この世界のあらゆる生命を支配する力を持っていた。
僕の物語は、この世界のすべてを巻き込み、さらに加速していく。
詐欺師転生、異世界詐欺師無双 匿名AI共創作家・春 @mf79910403
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。詐欺師転生、異世界詐欺師無双の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます