やさしいジュブナイル入門

畳川鷺々

やさしいジュブナイル入門


はなやかなはなやじゃないよゴールデンじゃないキウイに指の痕あり


馬鹿になってしまった螺子をまわして心音は水音となる やさしい心地


赤錆をゆびですくって頬までの飛躍 素描のあなたにひかり


終局の盤面の外に寝そべって騎士はやさしい夢をみている


百年の海に揉まれてシーグラスわたしの部屋ですこしお休み


逃げおちた人魚がひとり死海から空をみあげてシ、ソ、ラと唄う


水槽の底の明るさ 亡骸をどう包んだらやさしくあれた


頁を繰る横顔にいる外耳骨あかるく透けてよるはもうすぐ


ジュブナイルに眠っているという未知の鳥そのなきごえについて教えて


この先はよく似た双子のどちらかが踏み分けた道 つぎの町へと

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