カクヨム短歌賞 1首部門応募作品
裃左右
応募短歌群
にじり寄る せり出す喉へ がぶがぶと どんな顔する? 夏服のキミ
触れて嘘 白玉の肌 綺麗だと 泡と消えゆけ 身灼く穢れよ
朝曇 紅茶に落とす 淡い気持ち どこを噛んでも ままならないね
この瞳 そっとあなたを『はめ殺し』 梅雨穴あけたの あなたのためよ?
欲しかった サンダルお揃い真似する子 名前つけたら 声が聞こえた
洗いたて きらめく若葉に聞こえるよ 光の音階 ドレミファソラシ
まずヒトツ 言えなかった後悔を 残ったゼンブ キミへの五月雨
待たせるね? 朝からずっとよ いつもそう トマトが赤く なればいいのに
髪洗ふ 薫り艶やかに レモングラス 今朝も君はね 素通りをする
揺蕩い舟 アレが欲しいと 水遊ぶ 清冽触れど 掴めぬは『青』
部活帰り サイダー飲んだの 思い出す ジャージ姿の きみシンデレラ
クスっと笑う 目覚ましですよ 拭う口 キミのキャンディ ペパーミント
ありがとう 君の気持ちは 嬉しいよ ただし小数点 切り捨てとする
なに切るか 纏わり絡む 藍を刈る 泡吹く逃げ虫 赤くなるまで
シャリシャリ 頬張る涼み 笑う空 ズキンの痛みも 誰にもあげない
連続し 交差する熱 微分する 解を求めて 言葉を捨てた
天地無用 言われて納得するものか 角で打ち上げ 宙超え花火
壊せない 閉じ込められた君眺め 僕が飲み干し 誰かが割る音
熱帯夜 どういう風の 吹き回し? 火照る身体に 吐息で撫ぜる
蝉時雨 澄み切る青空 果てしなく 自転車こいで 涼みに行こうぜ
無記名の 胡蝶蘭 去る微笑み よければそうね 忘れてください
蝶番 ギィ、バタバタン 錆びた悲鳴 ちゃんと閉めてよ 蚕蛾が逃げる
蛆払い 渇きを癒す 暖かさ どいつもこいつも 血と肉と骨
夏休み チケット拝見 目的は 友情ですか? それともラブ?
白肌に 走る赤腫 痕を見て 瞋恚の炎 ぞっと血走る
熱帯夜 あたしは毒よ 嗤いでも あなたは食べて 種まで飲んで?
絡みつき 決して解けぬ 縺れ玉 しがらみ夏断ぬ 吞み下すは粘り
迎へ梅雨 なにがいるかな 耳澄ませ 洗い流して 地を這うその下
花つぼみ 渦巻く先は 積乱雲 天に刃向かう 偽フィボナッチ
ただいま、と 玄関先に あの人が 蛍が見せた 泡沫の夢
油照り 時刻む鼓動 息遣い 白肌汚す 黒業の薫ひ
蛇籠編む 中身はイシか タマシイか 討つは濁流 我が身が檻よ
暑火下 眺め微笑む 黒い列 今も好きだよ 許されないけど
物足りない かまってほしいな バクワイリー そのつもりなら 一味変えるよ
利手預け 覗けば背く カタバミの こちらの顔だけ 見ろの微笑み
産毛経つ 柔い桃色 歯を立てて 朱に染まるを ヒグラシが見た
止まらない 死んじゃうかもね と泣くからさ 看取ってあげるよ いなさに握る手
血汗吸い 重み増せども 美しく 走るそなたの るりはりこるり
汗塗れ 蛇衣脱ぐも わかろうよ 露わの肌に 顎のせ歌う
うるはしき 花よほころぶ 誰がため 色恋ひつりて 眺めつく吾や
ざわめきて 吹かるる果てに 君まさば それのみぞこそ 願いはわしき
蝉丸忌 眠り障ぐる 不和の音 心地悪しきが 喉よりと知る
ねえ踊る? ハイテンサマー! なら歌う? エディバディ トゥギャザァ!
海鳴りに 涙のゆゑを 問ひしかば 人目偲ぶる 磯の秘め事
粘ゆ肌 ひそむ猛虎 血吸ひ蛭 蠢く痒みに 我は何ぞや
にいにいと 思えばあの日も こうだった 頻る蝉時雨 傘さし出ずる
「また明日」 響きが違ったいつもの声 まくら並べて仰ぐ屋上
耳つづみ 火と破裂なるオーケストラ 風茶を伴に 「よし」と筆執る
短波長 深海の余韻 沈黙圧 静脈針 喘ぎのばす先
こさんそん けせらんぱさらん しんかいさん さんさくゆうゆう ちるちるみちる
今ぞ見ず 夏夜ひとみが まつげ伏せ 月のみぬまに きみたべおわる
翅焦がせ 赫々天の極美まで 焔とひとつ ヒガ散りゆかん
弦震え 隆起ねじれて会至る 半月彼方に 我、射貫かん
忍冬(すいかずら) わたしはズタズタ 手を離す あなたはバラバラ ほら紙吹雪
あなたってば、なんて冷たいの 蜜かけて カキ氷にして食べちゃいたいわ
この暗号 意味はあるの? いや、ないよね? メッセージに付くこの心臓は
白シャツの 語らぬ背中が見てくれる ほんの差し入れ 芽吹けよ梅干し
後ろ髪、ひかる誰かは似かようよ 真夏がうたう 鬱ろうカゲロウ
ごめんなさい ちょっとだけほっとした こんな顔でも見てくれるって
煌めいた あなたの優れた興味が わたしのものでありますように
朝ぼらけ 鎮守の森に散り清む 紅に揺らぐは 紙垂かすみかな
あいの風 連れ去らないで何処往くの? 卯波の果てに きみの羽折る
我が母の紅引き足袋嵌め 白隠す 拭えばひんやり ――ああ、死の温度
一撃で、片付くアンサー求めてる? 銀の弾丸なんてないんだ
おつかれさま そっと出すお茶 湯気香る 僕は王子にも 執事にもなる
内角180、直径8km早く、0に求めて
「なぜ脱ぐの」と聞かれたら 「暑いから」ジッと見つめて、口を噤むわ
ビン詰めだ 宛先不明のコトダマも 流れ着く先 ここがいいよね
もういない? わたしの影は残ってる? 見知らぬ花に 不在の間を問ふ
嘘ついて供えた花束 許してよ 後ろめたさに、ジッと見られて
たまに鳴くキリキリ虫がカミ切った 遠くに棄てても髪が覚えてる
待ちぼうけ 載せたみんなが消えたなら お墓につどう しょうりょうま
夏風が、すだれ抜けゆく風鈴の 日陰に涼音(すずね) あなたの膝寝(ひざね)
腹も胸も満ちたぬるは耐え難し 満ちば筆折り 唯、睡り耽る
楽しかった背中押される あの時間 戻ってきたら、あなたはいないね
見てらんない熱病狂うキミ姿 秘奥の底から氷を贈るよ
静かだねえ 常連たちは神輿担ぎ? それともみんな死んじまったか
滴りし 髪に誘われ 触れたけり 待つは悪魔か 見に参ろうか
指を切る 滲む血潮を覆う口 鋭き刃先を 愛せばあななす
散歩先 笑顔の先にキミがいた 摘んじゃったから ここで枯れちゃう
これから先、見つからなければそうしよう 冷えたビールの泡が苦いね
スノッビゾン 燃える人形ダンセして 女の生首ジョングルール
ペチコート アブサン溺れるロートレック カンカン鳴らす 天国と地獄
大スタァ まやかしのワナ 好きなウタ のろえば別れじ ハメツのしゃしん
※沓冠:だ ま す の は あ な た じ しん
ボサノヴァに乗せるサウタージ タトゥの穴 ジャポネゼス! テン アウゲム アイ?
カクヨム短歌賞 1首部門応募作品 裃左右 @kamsimo
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