肉親の方が癌になられて、その悲しみが生み出した作品なのでしょう。マイナスイメージの言葉の多用が、そのやるせない思いをひしひしと伝えてくるのです。そして、蝉、りんご飴、蝿、雨などの、何の変哲もないものたちが、詩的に異化されていくのを読み進めていくうちに、胸の奥が感動でジーンと熱くなるのを感じました。深い祈りに満ちた短歌集。推し短歌1首。願ひから祈りに変はる雨だつた抗がん剤を始める朝の
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