『硝子なら熱してのばしたりできるのに憧れは石鹸だから』
大きく形を変えられて割れやすい硝子。
大きく形は変わらないし、割れたとしても小さくなるだけで使うことのできる石鹸。
破壊と創造の間をぐらぐらと揺れ動くのが硝子。
ちょうど真ん中にどっしりと構えているのが石鹸。
そんな感触がしました。
熱を伴って形を変えられてしまったらどんなに楽なのか。
熱くなっても冷めてしまっても形が変えられないからこそ、いつまでも抱えていられるし、美しくも醜くもある。
憧れという言葉の解像度が、硝子と石鹸という二つの質感によって、鮮明になっていく感覚がたまりません。
石鹸に対する硝子という言葉選びと、『憧れは石鹸だから』という終わり方がとても好きでした。
素晴らしい作品をありがとうございました。