SNSが怖くなった
深見双葉
SNSが怖くなった
noteで、「スキ」を押すのが怖くなった。
誰かの投稿に心を打たれたとき、指が、スマホ画面の上で止まる。
「この人、私と相互フォローしてるけど、大丈夫かな」
「私に『スキ』されて、迷惑じゃないかな」
「あの人たちに見られたら、何か言われるかも」
少し前までは、感じたままに、反射的に押せていたのに。
noteで、私は何度も傷ついた。
ときに言葉を真似されて。
ときに誤解で晒されて。
ときに静かに嫌われて……
でも、何よりも痛かったのは、
「信じていた誰か」と繋がることさえ、怖くなったことだった。
私は思ってしまう。
『私とつながってる人、私と絡んだら、損するよ?
もう、誰も、私と関わらない方がいいのかもしれないよ?』
そう、まるで、
自分の存在が、“毒“であるかのように感じてしまうのだ。
それでも私は、「スキ」が好きだった。「スキ」という小さな灯りは、静かで、傷つきにくく、それでいて確かに“わかってるよ”と伝えてくれるものだったから。
だからこそ、怖くなる。この、私の「わかってるよ」が、誰かを危険に晒すんじゃないかって。
フォロワー数が圧倒的に多い人。
その存在が、note全体に落とす“空気”の重さ。
あの人たちに嫌われたら、私と繋がっている人まで、黙って外されるかもしれない。
だから、私なんかに「スキ」されない方がいいんじゃないか。
そんなことまで考えて、今日も誰かの文章を読み終えて、そっと指を引っ込める。
これは、誰のせいでもない。でも、たしかに言えるのは、私が「スキを押すのに躊躇う日々」を生きているという事実だ。
たかがボタン。されど、わたしにとっては、“信頼”と“自己否定”の間で揺れる、重すぎる選択肢。
現状、私は、
noteアプリを開くたびに、体がガタガタと震え、吐き気さえする。
肉体が、「ここは安全な場所じゃない」と、シグナルを送ってくるのだ。
それは悲しいことに、threadsを開くときも同じだ。
アホみたいに、性善説で生きてきた私は、threadsで、誰がフォローしているかなんて気にしなかった。
でも、深く親しくさせていただいているthreadsフォロワーさん以外の中に、note関係者が混ざっているかもしれない……そんな疑心暗鬼に駆られてしまう。
現在、threadsでも、かなりの数の人をブロックしてきた。それでも、threadsを開くのも怖くなってしまった。
だから?
答えは?
どうすればいい?
今は、何も決められないし、この感情を、誰かに理解してもらいたいとも思っていない。
ただただ、noteもthreadsも怖くなった。それだけの話だ。
人と人が、時空も場所も超えて繋がることができるSNSは、素晴らしい面もたくさんある。
threadsで出会った「命を愛する」みなさまと出会えたことは、奇跡だとさえ感じている。
でも、私がSNSで負った傷は、深い。
SNSは、アプリを開かなければ、無に等しい。
私は、言葉にすることでしか、傷を癒せない。
わかっているのは、それだけだ。
それでも、もし、こんな気持ちを知ってくれる人がいたなら、それだけで、今日の「スキ未遂」は意味を持つのかもしれない。
『あなたの「スキ」、私は怖くなかったよ』
そう誰かに笑って言ってもらえる日が、いつかまた来ますように……
SNSが怖くなった 深見双葉 @nemucocogomen
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