私を見ないで。

一筆書き推敲無し太郎

第1話

私を見ないで。そんな悲しい風合いに私は言うの。メデューサじゃないよ。

私は私を見られるのが、好きじゃない。ってか嫌い。真っ直ぐみられるのが特に嫌。

私は見られていると思うと消えたくなっちゃう。こんな私を見てくる人が居るの。

A組の彼は所謂オタッキーな人。でも悪い人じゃない、盲目的に好きな事を一方的に喋る変な人。

その好きが最近私に向けられているって聞いて、B組の私は逃げているって寸法。

彼は猪突猛進して私を探しているんだって、お昼休みなのにご苦労なことよ。

私は彼の心中を知らないけど、碌でもないんだと思う。私は陸上のトラックに居て、ごはんを食べているの。なんでって、逃げやすいし、見つけやすいでしょ?おまけに日中の暑い日。今日は最高気温35度。オタッキーはここまで来られないから。完璧な計算ね。


ここは天井?私は横たわって白い天井を見上げている。理解ができない。ここはどこだろう。見渡す限りのカーテンは私の頭上を遥かに超えて、ここは保健室のようだ。多分、熱中症になった。バカだった。私はあんまり暑さに強くない、冷房がないといられないのに逃げる気持ちまっしぐらに外にでたんだ。ああ、氷枕がぬるくなっている。そんなに寝ていたんだ。でも腕時計では15時を記録している。まあ、2,3時間寝ていたのか、学校でなにをやっているんだ私は。

私に話しかけてくる人間が1人。十中八九保健室の先生だろう。私がカーテンを開けるとそこにはA組のオタッキー。即座にカーテンを閉める私に驚く彼は意見聴取のように捲し立てて事のあらましを話してくれた。私を探していたらお昼休みは終わってしまったけど、次の授業で体育だった彼はそのまま陸上トラックに集合していたら倒れている私を見つけてくれたって寸法か。好意を抱かれているって聞いてなければ素直にありがとうが言えたんだけど、私の性格上、言えないかな。だって私の顔を間近で見てたんでしょ。助けてくれたこととそれはまた別問題。カーテンを閉めてもう少し寝ると伝え、保健室の先生を呼んで欲しいと伝えた私は布団をかぶる。少し冷房が強い。リモコンは手元にあるために、温度を確認。外の気温と中の温度が乖離しすぎていて、このままだと私は今日保健室から帰れなくなりそうだから適温にした。

寝てから少し経って16時。帰る時間としてはまずまずだけど、保健室の先生から感謝は伝えろって熱弁された。まあ、そうなんだけどさ。それが筋なんだけどさ。私は見られたくなかったの。顔のニキビ。思春期の少女の気持ちが一切わかってないよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私を見ないで。 一筆書き推敲無し太郎 @botw_totk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ