ひかりのためのナーサリー

塩本抄

ひかりのためのナーサリー

おまじないみたいな帰路にときどきは深夜の冷凍車とすれ違う


助手席にいる火曜日のゆううつよ蟹星雲の右が空いたよ


感情の毛先を泡が閉じこめる蜜のありかを悟られぬよう


平気、って頷いてからレアンドロのプールをひとり漂うくらげ


ハーモニー 冷やされたがる潮風が柵を日に日にめくり続けて


耳かきで液体になるきみだった獣医の真似に過ぎないけれど


ドードーには会えないってこと でもいいの、蜘蛛の巣まみれの月を覚えてる


愛を貝の代わりに拾えばキッチンに二十三時の島いくつもの


だとしても明日の絵本を決めるだけミロに氷を入れすぎながら


おそ夏に霧吹きかけていちじくの溢れるまちを待ちきれないね

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ひかりのためのナーサリー 塩本抄 @tankanosio

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