擬態天使

第1話

なんでか分からないけど君の悲しさがぼくの心を殴るんだ。

視界がボヤけたと思ったら目が痛いんだ。

君は知らない。ぼくの方が傷ついていることを。

君は知らない。ぼくの方が辛いことを。

ぼくが別の心を心配しているとき、君は僕に怒っているのを知っている。

ぼくが別の心に優しくしたら、君は拗ねるのも知ってる。

でも君に近づいたら君は無視するんだ。

そしてぼくは、ぼくの心を傷つけ始める。

ああ、ぼくはなんて罪深いのだろうか。

こんなやついなきゃいいのに。

それでもかまわず誰かの悲しい心をはげまそうとする。

ぼくは醜い。

血まみれの心で、生温かい手をさしだしても、もう誰もいない。

あるのは原形のない、汚いぼくの心だけ。