空に重なる二人の色〜二人の時間
翠容
空に重なる二人の色〜二人の時間
彼女は空を見たまま、俺の髪をそっとなでた。
それから、俺の瞳をじっと見つめて言った。
「あなたの瞳も、青いのね。
もっと、あなたのことを知ったら、空はもう、ただの景色じゃなくなるの。
あなたを映し出す、特別なものになる。
そうしたら、青い空だけじゃなく、夕焼けのオレンジやピンクの空も、
夜の星空も、雨の日の空も、あなたのことを思い出させてくれる。
そうなったら、私は空を見るたびにあなたを感じて、もっと空が好きになるの」
彼女は俺の瞳をじっと見つめ、少し照れくさそうに言った。
その耳はほんのりピンク色に染まっていた。
そんな彼女に少し悪戯したくなって、
俺も彼女がしたのと同じように髪をそっとなでた。
そして、そっとこめかみにキスを落とした。
そうしたら彼女は恥ずかしさが極限に達してしまったのか
両手で顔を覆い、そのまま俺の胸に顔をうずめてしまったのだった。
風が二人の髪を揺らす。
いつの間にか日が暮れ、空は青からピンク色にゆっくりと塗り変わる。
未だ色づいている彼女の耳と同じ色だ。
俺は夕暮れの空を見るたびに今日の日のことを思い出すだろう。
そしてきっと、その度に彼女のことをもっと好きになる。
空に重なる二人の色〜二人の時間 翠容 @suzu-yo3
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