声劇脚本『大好き』

夏島裕治【ナツシマ ユウジ】

声劇脚本『大好き』

題名:『大好き』

作:夏島裕治


【登場人物】

語り手(ソラ):ご主人(ユウ君)とずっと一緒にいたワンコ(イメージは白柴)。人の言葉は分からないけれど、感情や雰囲気には敏感。一人称は「ソラ」。性別はご自由に。


【本文】

語り手:あ!帰ってきた!おかえりなさい!…あれれ?もしかして、今日も何かあったの?すごく疲れた顔をしているよ?

ユウ君は最近ずっと悲しそう。ソラも、すごく悲しい。

昔はたくさん笑って、たくさん遊んでくれたのに、大人になるにつれてユウ君は忙しそうで、寂しいな。ユウ君が大人になるにつれて、パパとママは喜んでくれてたけど、ソラは寂しいよ。

…あれれ?今日も泣いてるの?大丈夫だよ。ソラはユウ君が何で悲しんでいるかは分からないけれど…ずっと味方だよ。ユウ君を泣かすなんて許せないよ!

ソラはユウ君がずっとずっと頑張ってきたのを知っているよ。ずっと机に向かってオベンキョウしてたの、ソラは知ってる。パソコンに向かって誰かと一生懸命お話していたのもソラは知ってる。ユウ君は偉いよ。ちゃんと頑張っているよ。だから泣かないで。ソラはユウ君がまた笑っている姿が見たいよ。

ソラはね、パパやママが知らない、ユウ君の優しいところ、知っているんだよ。一緒にお散歩した時、迷子や、なかなか道を渡れないおばあちゃんを助けてあげたり、従兄弟の「ヒーちゃん」が来た時も優しくゲームで遊んであげてたりしたよね。

ユウ君はたくさんたくさん偉いし、優しいんだよ。悲しくても、パパとママの前ではニコニコしているのもソラは知っているよ。そんな優しいユウ君だからこそ、我慢して、疲れちゃうんだよね。

でも大丈夫だよ。ソラは知っているよ。…ソラだけじゃダメかな?嫌かな?ソラはユウ君が大好き。だから、ほら、また笑ってよ。


語り手:ユウ君はそっとソラの頭を撫でて何か言ってくれた。ソラにユウ君の言葉は分からない。でも、ユウ君は涙を拭きながらソラに向かって笑ってくれたんだ。ソラはそれが嬉しくて、元気に返事するんだ!


語り手:「わん!」


―――――――――――――――――――Fin――――――――――――――――――――

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声劇脚本『大好き』 夏島裕治【ナツシマ ユウジ】 @724ma_yu2

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