第8話
「お預りした武器にグレステン・ミソノの名前が刻まれていることが確認できました。遠路はるばるご足労おかけします。アリア町へようこそおいで下さいました。グレステン様、今回は【鑑定】の依頼を受けて頂き誠にありがとうございます。ギルドマスターをお呼びしますので、あちらの席に御掛けになってお待ちください。」
受付嬢は乱雑に並ぶ席の中から空いてる席に右手を向けて指し示したのちカーテシーをして、階段を上っていった。ビクトリアさんは隣の受付カウンターが空いたので、依頼完了の報告をしてくるとその場を後にした。わたしはその間ビクトリアさんの後ろにいても邪魔になるので、受付嬢に指された席に座る。
しばらく座って待っていると、先ほどの受付嬢が受付カウンターのスイングドアを通ってこちらへ来る。どうやらギルドマスターの了承が得られたので部屋まで案内してくれるようだ。わたしは席を立つと受付嬢についていく。受付嬢はビクトリアさんの元まで行くと、ギルドマスターがビクトリアさんも一緒に連れて欲しいと連絡していたようだ。ビクトリアさんもそれに了承して、わたしたちは受付嬢と共に2階にあるギルドマスター室に入る。
中に入ると、沢山の書類が山のように積まれた大きな横長の机が真ん中に配置され、その後ろに本棚が壁一面に配置されている。そして書類の合間に白髪のカイゼル髭を蓄えた隻腕の筋肉質な男が椅子に座って待っていた。わたしが入るとギルドマスターは立ち上がり、わたしの元までやってくる。わたしの後ろでは受付嬢が外に出ると扉を閉めていた。扉が閉まるのを確認してギルドマスターがわたしの方を向いて口を開く。
「君がグレステンくんだね?わたしはこのギルドのマスターをしているクラウディオだ。ミアくんから話を聞いたよ。色々苦労をかけさせてしまったな。ギルドとして申し訳ないことをした。すまない。」
クラウディオさんはわたしの目をじっと見つめていました。
「そ……そんな。あなた方冒険者が任務を放棄せずわたしを守ってくれたのでここに居られるのです。感謝こそすれ、謝罪を受けるわけにはいきません。」
わたしは両手を振って滅相もないというジェスチャーをした。それでも数瞬の沈黙が流れたが、クラウディオさんは目を閉じて咳払いをした。
「それでは改めて、今回ギルド依頼でアリア町まで来てくれてありがとうグレステンくん。そして彼女をここまで護衛してくれてありがとうな。ビクトリア。」
クラウディオさんが右手を伸ばして握手を求められたので。大丈夫、藤堂の記憶にはビジネスマナーという知識があったからおそらく不自然な所作ではないはず……。そんなことを考えながら握手を返した。そのままクラウディオさんはビクトリアさんの方に向かい同じように握手をかわそうとすると。彼女は口角を吊り上げて……
「じいさん。貸しひとつな!」
がっしりと握手を交わした。そのあとクラウディオさんとビクトリアさんを交えて改めて自己紹介をしあった。曰く、クラウディオさんとビクトリアさんの仲は6年前からで、ビクトリアさんが17歳の時に先代ギルドマスターのルオさんに連れられてこの町に来たのがきっかけで知り合ったのだという。ルオさんが先代ギルドマスターだったのは驚きだ。クラウディオさんはその時B級冒険者でそれなりの名声があったのだが、ルオさんが自分はギルドマスターの仕事が忙しいからという理由でクラウディオさんにビクトリアさんを押し付けたらしい。ただルオさんは忙しい中料理だけは別らしく、今のように料理だけは振舞ったりしていたのだという。それでビクトリアさんとクラウディオさんは一緒にパーティーを組んでダンジョンに潜っていたのだが、3年前にダンジョン攻略で無茶をしたせいか、クラウディオさんは片腕を失ってしまったらしい。それからルオさんの代わりにギルドマスターをやっているのだという。
「ユースリーム大陸知識」
〇【透視】 凝視したものをレントゲンのように透過するスキル X線検査のような効果だがより詳細に見える為、原理は不明である。
ここで力尽きました。
【未】蚊も殺せないヲタクですが世界を旅してみたいんです。 放浪作家おろろん @sironekogold0050
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