魔法少女は彼女を愛した

あまりゅう

第1話 キミを拾った日

魔法少女とは魔獣を狩る者である。

ならば魔獣を狩らない魔法少女は魔法少女と言えるのだろうか?




その日、私は疲れていたのだと思う。

いやそれ以上に私は壊れかけていたのだ。孤ドクという毒にジワジワと蝕まれいつ壊れてもおかしくない。そんな状態だった。


私は見つけてしまったのだ、彼女を。

雨に濡れ、怯えるような、しかしそれでも威嚇するようにこちらを睨んでした。


ひとりで、孤独で、寂しい。

私は彼女に自分を重ねた。


彼女は人型であるが明らかに人間ではない。獣のように吠えるし、尚且つその赤い瞳が彼女が魔獣であることを示していた。


それでも私は彼女に、確かな知性と感情を見いだした。


後にこの少女型の魔獣────通称:魔獣少女とされる魔獣の特徴でもあるのである意味それは正しかった。




出来心だった。

ただの犯罪者の言い訳である。

私は罪を犯した。魔法少女をして5年、模範的魔法少女とは言い難いが特に問題らしい問題も起こしていなかった私の初めての規律違反。




彼女は私の薬だった。

劇薬と言ってもいいかもしれない。

彼女といると身体がポカポカ温かいんだ。

多分これが愛なんだってそう思う。

私は彼女に雪奈と名付けた。


私がしていることは人類への利敵行為だ。

魔獣を匿っているのだから。


でもそれは私が愛するのをやめる理由にはならない。


だって愛に罪はないはずでしょう?

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