怖いものは、幽霊か犬か。それとも…。

あれは、小学生の頃の出来事だった。
 二つ年上の姉と一緒に公園で遊んで
いると、いつの間にか見慣れない男の子が
目の前に立っていた。
  そのまま何となく一緒に遊んで、
男の子の家に行く事になった。

 お化けがいるから、見ていってよ。

思わず、笑ってしまったけれど。
男の子の家は公園からは遠い、林の傍の
蔦の絡まる豪奢な洋館で。
 西洋のドレスみたいな服を着た母親が
怯えて震える、リポンを付けられた小さな
犬を抱いて微笑んでいた。

 そして、犬小屋から 

犬の鳴き声     だけ    が。


心理的な恐怖が否が応でも煽られる。
結局、犬が幽霊だったのか……それとも。
どう転んでも恐ろしい、作者の手腕の妙。


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