夢のお墓

まろ

夢のお墓

スイマーで買ったピンクのカッターの猫が爪立て血滲む手首


暖かな春の日差しにまどろんでいるかのようだ雀の死骸


誰だって良くても私は駄目かもね私もいらない私なんかは


君だけがまともであったあの頃の笑顔を閉じ込め褪せぬプリクラ


睨むなと蹴られたあの時見た夢を叶えた今でも見れぬ人の目


コンビニのワイン飲み干しダウナーな気分で数える腕の白線


受付のピンクのネイルが気に食わぬオルゴール鳴る心療内科


もう生きていたくないのに母が言う「生まれたからには生きるだけ」だと


寝たふりをしている私に触れた手が優しく撫でる桃色のケロイド


高みなど目指すわけがないただずっと見上げていたよ自分以外を


自分からにんじんぶら下げ懐に入って逃げる飽きられる前に


小綺麗な箱をあければカラだった本をひらけば白紙であった


生き埋めにされて「出して」と泣いていた夢のお墓を掘り起こせ、今

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢のお墓 まろ @narukakunaruyomu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る