エピローグ− ハーバード・ビジネス・スクールにて−

ハーバード・ビジネス・スクール。


ある講義の教材として、こう記されていた。


——————————————


Case Study:

From Bloodline to Boardroom – The Transformation of Kanzakibara Holdings into GLOCALIA Inc.


(日本語訳:)

ケーススタディ:

家名から経営へ──神崎原ホールディングスからGLOCALIAへの変革


※「GLOCALIA」は、架空の社名であり、“グローバルかつローカルに根ざした企業体”という理念を体現したもの。


————


Executive Summary:

In the late 20th century, a Japanese family-run conglomerate transitioned into a professionalized global enterprise through one man’s strategic divestment of legacy, name, and tradition.


(日本語訳:)

概要:

20世紀末、日本の家族経営企業が、一人の男の決断によって、家系・名前・伝統から切り離され、プロ経営の世界企業へと変貌した。


———————————————


教授が問いかける。


“Was Kanzakibara Shinichi's decision a betrayal—or a legacy?”


※日本語訳:「神崎原信一の決断は、裏切りだったのか──それとも継承だったのか?」


教室は沈黙する。


その一人の行動が、百年の呪縛を解いたことを、彼らはまだ言葉にできないでいた。


——————————————-


あとがき:


彼らが継いだのは、名ではなく“問い”だった。それは、かつて私が継げなかったもの──


そして、物語という形で、ようやく誰かに託せるようになったものかもしれない。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

家名と血-百年の呪縛- Spica|言葉を編む @Spica_Written

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ