AIRの『夏影』『青空』がダブルで一等賞だっ!

とろり。

やっぱり『夏影』『青空』がいい


 『鳥の詩』はオープニングで流れます。ゲームでは堤防のシーンですね。

 AIRを象徴する素晴らしい曲だと思います。とも呼ばれています。

 『鳥の詩』も好きです。大好きです! Liaさんの歌声はとても素敵です。ですが、それを超える曲は『夏影』『青空』の2曲だと思っています。

 『青空』、こちらもLiaさんが歌っています。

 『夏影』を歌うLiaさんの歌声は別のCDに収録。

 オリジナルサウンドトラックでは『鳥の詩』と『青空』、『farewell song』が聴けます。あとはテーマごとの楽曲が収録されています。何回リピートしたことか……数えきれない。




 『鳥の詩』は基本的にオープニングだけで、アニメ演出では使われていなかったと記憶しています。

 一方、泣けるシーンで流れるのが『夏影』『青空』。


 『夏影』は観鈴との場面で流れます。

 アニメもゲーム(プレステ)も観鈴の場面であったと記憶しています。

 を語るシーンに流れたりします。

 その度に涙します。特に2週目以降です。すでにストーリーを知っているからこそ、泣けます。思い出してしまうのです、観鈴との日々を。

 引っ込み思案な観鈴は往人と不思議と関わっていく。

 そして国崎往人を通して、遠野美凪や霧島佳乃にも関わっていく。

 そのひとつ一つの懐かしい日々を送ってきた。

 それを思い出してしまうのです。それが泣けるのです。





 そしてもう一つ。

 オルゴールの『銀色』もいいですが『青空』。

 これはやっぱり、最終話のあのシーンですかね。


 「もうゴールしても……いいよね……」


 このシーンの前の観鈴は元気そうに見えました。しかしその裏では背中の痛みに耐えていたのです。翼、その痛みに。



 観鈴は車椅子から立ち上がり、晴子までの距離を歩こうとします。

 しかし晴子のところへ歩き着いた時、観鈴は持てる力を全て失っていた。

 晴子は力無く崩れる観鈴を受け止め、観鈴の背中の痛みを知る。


 「もうゴールしても……いいよね……」


 AIRの一番の泣けるシーンである。

 そこで『青空』の曲が流れる。

 観鈴はであった日々を想い、晴子も観鈴とであった日々を想うのだ。その想いから晴子は観鈴との最後の別れを拒否しようとした。

 そして観鈴は……

 観鈴の最後に、晴子はただただ涙を流す。





 の終わり、観鈴は幸せだったのだろうか。

 ようやく始まった晴子との生活。

 の絆をこれから深めていくはずだった。

 なのに、

 それなのに、

 これでは観鈴も晴子も報われない。

 千年前のあの夏の続きを観鈴に負わせるのは酷すぎる。

 まだあんなに幼いのに、の続きをみるのは酷すぎる。


 運命なのだろうか。

 人は運命に逆らえないのだろうか。

 短い命を観鈴は精一杯生きられたのだろうか。

 二人のとしての時間は、観鈴にとって、そして晴子にとって最後のかけがえのない時間だった。

 しかしこれでよかったのだろうか。

 俺はまだ納得ができていないところがある。

 観鈴にも晴子にも幸せになってもらいたかった。






 親子の関係。

 それを考えさせられた作品。

 晴子が本当の親じゃなくても、二人はだったんだ。

 二人の想いは同じだったんだ。

 本当の家族だったんだ、と。

 10年前から始まっていた観鈴との暮らし。

 すれ違いばかりの日々。

 そんな日々は終わり、としての生活が始まろうとしていた。

 けれど

 観鈴は空に還ってしまった。

 取り戻そうとしていた絆。

 これから二人の思い出を作っていこうとしていた。

 けれど

 二人の夏は

 二人のこれからの時間はもうやって来ない。

 もうどうやっても二人の新しい日々を送ることはできないのだ。

 それが晴子の涙なのだ。

 10年間の空白のような時間を後悔していたのだ。

 もっと早く気付けばよかった。

 観鈴という大切なに。

 いや

 気付いていた。

 晴子はもう観鈴を本当のだと思っていたのだ。

 けれど

 晴子は正直になれなかっただけだ。

 観鈴も正直になれなかっただけだ。

 二人の距離はこの点で離れてしまったのだ。

 だから表面だけのとしての生活を送ることになってしまっただけだ。

 本当は

 晴子も観鈴も、もっと近付きたかった。

 二人で

 笑いたかった、遊びたかった。

 楽しい思い出を作りたかった。

 晴子を母親と

 観鈴を娘と

 互いに心から感じたかった。

 そんな風に思うのである。



 いつも観鈴の隣には晴子がいた。

 笑顔を見せられるのは晴子がいたから。

 だから最後は

 最期の最後、観鈴は

 幸せの中笑っていた。

 観鈴の閉じた瞳には

 が映っているのだろうか。




 ………………

 …………

 ……




 こんなにも空が青い夏の日

 ひとりの少女が旅立っていった

 母は涙を流し見送ることしかできなかった


 あの空には翼を持つ少女がいるという

 今日はの終わり

 ひとりの少女の命は空に還っていった

 母は強く握りしめた少女の手を

 離すことができずにいた


 この少女の幸せは

 ようやく手にした幸せは

 少女の心の中に残っている


 ………………

 …………

 ……


 水平線の向こう側には

 何があるのだろうか

 砂浜を歩く少年と少女

 彼らにはせめて

 祝福を

 ……




~Fin~




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AIRの『夏影』『青空』がダブルで一等賞だっ! とろり。 @towanosakura

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