Close-Up

雪永雪道

Close-Up

一列に首を差しだすドアノブがいっせいに僕を映しだす朝


鼻のよくきかない子犬にゆっくりが実況している水槽の匂い


何かより誰かを想起しそうだよ ドラッグストアの白の明滅


返答のピントがズレる空中に明け渡されていく存在論


得恋は技法であって車窓から早回される風景のよわさ


あらためて自分のことを話す度、華やかエーテル麻酔の冷たさ


Flash-Back-Forward 僕の乱反射 夏はひたすらもう鋭敏に


サイダーのペットボトルの底にいて認証コードが思い出せるね


雷鳴は鉛の気配を連れてきてすべての未遂のゆるい漂い


クロースアップ 平面的な僕の顔/カットアウェイ/やや汚れた時計

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Close-Up 雪永雪道 @yukimichi1205

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画