恋はパズルのように……

恋は、いつ始まるのだろう。
告白の瞬間なのか、それとも、気づくより前にすでに始まっているものなのか。

『もうすぐ恋する5分前 ~リメイク~』は、
恋に落ちる出来事ではなく、恋に気づいてしまうまでの時間を
丁寧に描いた物語だと感じました。

主人公サダノブの視線は真面目で不器用で、
けれどその誠実さが、物語全体に静かな信頼感を与えています。

終盤、風景と会話の積み重ねの中で、
恋が高揚ではなく理解として立ち上がる瞬間が描かれる。
「僕の中でパズルのピースが埋まるように、一つのカタチを形成していく。」
という表現に、強く惹かれました。

恋は祝福であり、同時に抗えない転落でもある。
その二面性を、穏やかなユーモアと誠実さで包み込んだ恋愛物語