黒と黒 藤田×国吉展

水沼朔太郎

黒と黒 藤田×国吉展

三種類のブラックコーヒー混ぜてみる国吉の黒を思い出しつつ


乳白色とは打って変わって透き通る藤田嗣治の背面の黒


二十代は藤田に惹かれ 三十代とは国吉康雄に惹かれる齢


おもむろに絵を見て順路へ消えていく本日限りのマッチング相手


ピーマンの肉詰めみたいな西瓜の絵 順路の死角にふたつ並んで


〈が〉が抜けてすこしつめたい文になる それもわたしの本心でしたが


恋人が出来たことにしてマッチングアプリをやめる山の日の午後


マッチングアプリに祝福されている恋人が出来たと思っているから


甥っ子の名前が決まる 中国のパンダみたいなあだ名が浮かぶ


たんたんと会期を告げるエンディング日曜美術館再放送

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黒と黒 藤田×国吉展 水沼朔太郎 @smizunuman

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る