百軒店のとんかつ屋

ぺらねこ(゚、 。 7ノ

渋谷20時。これから晩御飯。

 渋谷にはたくさんの坂がある。駅が谷底にあるため、夕方になると街は坂を下る人と登る人でごった返す。18時を過ぎれば、帰宅を急ぐスーツ姿の人々と、これから夜の街へ繰り出す若者たちがすれ違い、あたりは蟻地獄の縁のようにせわしない。


 その人波の中に、私もいた。今日も朝九時から夕方まで、四本の会議と二件の問い合わせ対応に追われ、ぐったりと疲れきってオフィスを出たところだった。いつも使っているはずの資料の保存場所を思い出せなくて後輩に聞いたり。派遣社員の不在に気づいて慌てたり、そんな慌ただしさの連続で、もう家でご飯を作る気も、デパ地下で惣菜を買う気も、地元で食事をする気も起きない。

 今日はインシデントが多すぎる。こんなに働いたのだから、弱音のひとつやふたつ許されるべきだ。頭の中で、やってらんねえな。とか、明日休みてえとか、弱音が反響する。

 だが大丈夫、私はまだ動ける。ただ少し疲れているだけだ。


 オフィスビルのエントランスを抜けると、目の前には疲れた人の群れが渦を巻いていた。ぶつかりそうでぶつからない奇妙なブラウン運動。疲労した私には、それが人混みではなく障害物のように見えた。

 謎運動を繰り返す人間たちは、それぞれぶつかり合うのを直前で避けながら進む。比較的目的がありそうな素振りで、意思を持った行動をする個体。追い抜かそうとチャレンジする個体。中には果敢にもUターンを行う個体などがおり、あまりの無秩序さにため息が出る。

 この街の人の流れはスマホが世の中に生まれてから、大きく乱れた。前を向いて歩いている奴より、スマホの画面を見ながら歩いているやつの方が多い。日が落ちているのに日傘とスマホを両方使ってるやつはなんなんだ。私のことを刺し貫くつもりか。

 私はプールに飛び込むときのように軽く息を止め、ぶつかり合う人の波の中に飛び込んだ。人波に一瞬呑まれたのち、顔を上げて息継ぎを行い、大きく肩を上げて水を切るように歩き始めた。


 渋谷駅を底としたすり鉢である渋谷という街は、放射状に道が延びている。そのほとんど全てが坂を登る道ではあるが、渋谷警察署方面や代官山に向かうルートだけは平坦だ。

 これとは別に、渋谷を平坦に歩く方法がある。それは、坂を真横に渡る道を歩く方法だ。今持っている位置エネルギーを無駄遣いせずに移動するには、この方法が丸い。なんなら帰り道は、蓄えた位置エネルギーを利用して、坂を降りていくだけで渋谷駅に着く。帰り道のだるさを考えると、現在地と高低差の少ない百軒店の中を散策するのが丸い。

 百軒店は渋谷の中でも少し開発に取り残された場所で、アスファルトの舗装がところどころはげていたり、急にコンクリを打っただけの私道にぶつかる事もある。老舗の女学園やストリップ劇場があり、実際目立つが風俗街そのものではなく、周りには老舗のビルマカレーで有名な店や、いつから有るのかわからない歌声喫茶も残されている。

 建築物の時間軸で見ると、戦後から今までの建物が私にはわからないルールで残っている不思議な場所と言えるかもしれない。少なくとも私はそう思っている。

 この辺の老舗は、その立地の良さから予約なしでは入れないことが多く、もしくはこの時間すでに店を閉めている。夕飯時に店を閉めるのはなぜだ! と今のオフィスに移った頃は思っていたが、店主の年齢的に、ランチタイムの程よい混雑までが許容範囲で、それ以上の騒々しさを嫌うのも仕方ないと最近は思う。

 とはいえここが渋谷駅から徒歩数分の場所にあることには変わりなく、夜の混雑時間帯にだけ店ごと別のオーナーに貸し出すところも増えた。というわけで、昼と夜とオーナーの違う店がこの場所にはいくつかあり、その結果、店構えと違う料理が食べられる一風変わった店が増えつつある。

 暑苦しい空気の中、この区画を少し歩く。店の外にまで店内の喧騒がはみ出す店が多い中、一軒だけ客の声ではなく陽気なディキシーランドジャズが流れている店を見つけた。とんかつ屋の間借りなのだろうが、やや重たくなった木製の引き戸を開けると、ホーンセクションの元気な音が流れてきて、それとともにスパイシーな香りが鼻とお腹を攻撃してくる。

 間違いなく美味しい店だ。と謎に確信し、私はとんかつ屋の暖簾をかき分けて店内へと進んだ。


 ドアを閉めて店の中に向き直ったら、店員さんが声をかけてきた。20歳ぐらいの若い女性。渋谷の店では珍しく、日本人のようだ。ナチュラルメイクで髪の毛はサイドを編み込んで背中に流している。オーナーが真面目なのだろうか、ギャルという感じではない。若くてしっかりしてそうな清楚系美人。渋谷の飲食店の店員には非常に珍しいタイプだ。なんと、香水の香りもせず、ネイルもしていない。

 彼女の案内に任せるままに、テーブル席を避けて通路を歩く。

 入口の近くは8人掛けや4人掛けのテーブルが満席だったが、いくつかテーブルを通り過ぎるうちに、空席が目立つようになってきた。周りにはまだ客がちらほらおり、彼らの会話の声とBGMのジャズの音色が同じくらいの音量になっていた。

 もう1列奥に入り、店員に勧められるままに4人掛けのテーブルに着くと、空いている席は荷物おきに使ってくださいね。と言われた。必要ならカゴをお出ししますけど、どうします? とも。

 大した荷物ではないので90度左の椅子を少しだけ引き寄せ、そこにカバンを置かせてもらう。椅子に座り直すと、そこには水と水差し、おしぼりとメニューが置かれていた。

 「お決まりの頃お声がけしますね」と言い残して店員は立ち去った。

 店内は空調がよく効いており、肉の焼ける匂いや煮たり焼いたりした野菜の香りが混ざった美味そうな香りが漂っている。

 メニューを開くと、料理の名前と価格の隣に、小さな写真が置かれているスタイルだった。酒を飲んだら明日の仕事に響くだろうか? と考えたが、ビールくらいならいいだろうと思い、飲み物のページを探す。

 瓶ビールがあれば小瓶で頼むかなと思っていたところ、私の期待よりも遥かに揃いがいい。アメリカンな軽いビールと国産の定番どころ、それ以外にもクラフトビールやエールが置かれている。ウィスキーやワインもアメリカのもの。軽くて飲みやすいものがメインのようだ。

 軽く手を挙げると、先ほどとは違う店員さんがやってきた。私は知らない醸造所(英語を読まずに写真で選んだ)のペールエールと、ハーフサイズのチリコンカンをオーダーした。とにかくのどが渇いていたし、本格的なダイナーでの食事は牛丼屋のようにスピーディーに済ませてしまってはもったいない。


 ビールが届くまでにやることは全て済ませた。私はヒヤヒヤのおしぼりで手だけではなく腕も肘もふいて、ついに顔を拭こうとした時、注文をとってくれた店員さんが声をかけてきた。

「外暑いですものね。おしぼりを交換しますね」

 にこやかな顔で、優しい声で、急に話しかけられたのでびっくりしたが、代わりのおしぼりをくれるのは珍しい。ありがたく受け取ることにし、手元のお絞りで顔も拭いてしまった。新しいお絞りがすぐに手渡され、その隙に汚れたおしぼりは素早く回収され、彼女の気配は消えた。あとには、幾分かリフレッシュした私がこの場には残った。


 メニューをテーブルの片方に寄せてみると、メニューの下から高級そうな木のテーブルが出てくる。私が少し体重をかけても、揺れたり軋んだりしない頑丈なものだ。渋谷の飯屋のテーブルは、特に老舗になるほどガタガタと落ち着かない。家具が古いのか、客が乱暴なのかは分からないが、テーブルはどうしてもガタガタしがちである。場合によっては椅子もそうだ。よく見ると床に穴が空いていて、ガムテープで埋められていたりする。

 しかし、この店はそんなくたびれた店ではない。ワックスがかかった飴色に磨かれた床。座ってもガタガタどころかきしみひとつ上げない椅子と机。

 なんかこの店、すごく作りがいいな……。ひとりごちて料理の価格設定を思い出す。気取った値段では決してなく、むしろ安いと思ってオーダーしたはずだ。

 壁を見ると、かなり先にシンプルな壁がある。この壁はどうやら板張りらしく、西部劇で見たことがある光景になんとなく似ていた。


 大きめの足音が近づき、店員さんがトレイを持って現れた。

 驚いたことに、受付の店員さんはテンガロンハットとネルシャツをかっこよく着こなし、ジーンズにカウボーイチャップスを合わせて、本格的なカントリーガールになっていた。黒髪で日本人のようだけれど、少しそばかすを乗せたニコニコ笑顔でこちらに話しかける。

「お待たせしましたー! ビールとチリコンカンでーす! この店自慢のチリコンカンは、サワークリームと合わせてあるのよ!」

 彼女がアメリカンガールを演じているだろうか、それとも元々がそういう性格なのだろうか? 嫌味なくタメ口で話しかけられて、自然に会話が始まる。

 銀色の丸いトレイから、ガラスのビールジョッキが置かれ、そのあとすぐに薄切りのバゲットを何枚も添えたチリコンカンが白いクリームとともに提供される。

「サワークリームが乗ったチリコンカンは初めて? チリが辛かったら、サワークリームと一緒に食べてみてね。クリームが余ったらバゲットにつけるのもアリだよ!」

「ありがとう、チリコンカンはアメリカの料理ってイメージで頼んだんだけど、このお店のは辛いのかな?

 肉料理でおすすめはある? さっきから、この燻したような香りが気になっているんだけど」

 私が質問すると、彼女は聞き慣れない食べ物をメニューを開きながら教えてくれた。

「うーん。うちは本格的だから、チリは多分ちょっと辛めだと思うわね。

 おすすめのお肉はーっと。ビーフならブリスケット。バーベキュー料理の王様ね。日本人の想像するローストビーフやステーキと違って、12時間以上火を通した巨大な塊肉から切り出したお肉でね、手間のかかった料理よ? 日本ではまだまだ食べられるところが少ないから、ぜひ食べてみてほしいな。

 ポークなら、プルドポーク。最近ちょっと見かけるようになったけど、こっちもじっくりと柔らかくなるまで火を通して、お肉をほぐして香味野菜のソースと混ぜて食べる逸品よ。焼き豚ともローストポークとも違う食感だから、初めてだったらびっくりするかもね!」

「ふーん。なるほどなるほど」

 彼女の意見はメニューの写真を見るとさらにわかりやすい。ほろほろにほぐれているプルドポークも気になるが、ブリスケットの真っ黒な塊感が私にはとても気になる。

「そうしたらブリスケットを、えーと」

「小さい方だと100グラム、メニューにないけど150グラムで頼む人もいるね。極秘情報なんだけどまだ端っこが残ってるから、端っこにしちゃおうか? そうすると150グラムか200グラムあった方が楽しめると思う」

「それじゃあブリスケットを200グラム。おすすめの端っこで」

「おっけ。いいねえ。美味しいところ持ってくるから、まずはチリコンカンを食べてみてよ!」

 そう言いながら後ろを向いて歩き出した彼女の足元は、薄茶色のウェスタンブーツだった。驚くべきことに、拍車もつけてある。金属のぶつかり合うガチャガチャという音と共に、鈍く光る金具とブーツ、そしてジーンズの濃いブルーがとても調和していて、アメリカの雰囲気をよく伝えていた。


 私は虚空に向かってビールを軽く持ち上げ、そのまま口に運ぶ。ジョッキで飲む軽いビールは、あくまで軽く滑らかで飲みやすい。スイスイと半分ほど飲んでから、ドンとテーブルに置いた。すかさずフォークで豆に挑む。

 ホカホカで艶々でパンパンに膨らんだ赤くて大きな豆がその倍ぐらいの量のひき肉の中に埋まっている。ガーリックと煙で燻された唐辛子、牛脂のこってりとした香りが立ち、それらがトマトの香りで包まれていた。

 ミートソースじゃねえか。とひとりでつっこみながら、バケットの上にフォークでチリコンカンを乗っけて、サワークリームも添える。そこに齧り付くと、サクッというパンの感覚と、思いのほか大ぶりのひき肉から出る美味い脂。ガーリックとトマトの香りの奥から出てくる、唐辛子の燻製香。豆のさっくりとして少しざらついた舌触り。それらを追いかけてくる辛味がじわじわと強まってくる。

 うまい。この店のレシピだと肉だらけだが、それが正解だと思わせる旨みの渦。塩味と辛味と肉のコクで身体中の汗腺が活発になる。私は酒に弱い訳では無いが、これではついビールが進んでしまう。ブリスケットが届く前にビールを飲み終えることを確信した私は、軽く手を上げてウエイトレスさんを呼んだ。

 カウガールは視界の隅の方にいた。だいぶ遠くのバーカウンターで、こちらをチラチラと見てくれていたようで、すぐに気づいてもらえた。彼女はテンガロンハットを背中に回し、一旦カウンターの奥に引っ込むと、すぐに彼女よりひと回り大きな動物の背中にひらりと飛び乗って、こちらに向かってくる。


 彼女は馬に乗って登場した。


 自分が座っているところに馬が向かってきたものだから、少々取り乱した。ちょっと床に落ちた程度で済んだが、馬ってでかいね。

 椅子に座っていたから、立っているときよりも馬の大きさが余計に大きく感じる。

 颯爽と馬を降りたカウガールに同じものをとビールを頼み、手を貸してもらって席に戻る。

「ごめんねー。店が拡張期に入ったみたいで、私達もどのくらい広がったかわからないんだわー。ビアサーバーはまだ遠くに行ってないはずから、すぐに持ってくるわね! あ、そうそう。そのときにブリスケットも持ってくるから」

彼女は蹄の音を残して消え、私は馬の尻と尻尾を見送った。

 ズボンを直して座り直すと、自分の居るテーブルの周りが少し暗くなってきた気がする。天井の明かりがすこしまばらになったのだろう。拡張期といっていたから、天井自体が引き伸ばされているのかもしれない。

 チリコンカンをつつきながら次なるビールを待っていると、遠くから何やらやかましいエンジン音が聞こえてきた。


 今度は何だ? スーパーカブだ。今どきなかなか見ない岡持ち機で、岡持ちを後ろにぶら下げている。

「えっとね、ブリスケットとビールは後ろに積んでる。申し訳ないけど、ブリスケットはサンドイッチにさせてもらったわ」

「え?」

「さっき、この店が拡張期に入ったっていったじゃない? それでね、そのスピードがなんかすごいのよ。こんな指数関数的に広がる例は、ここ最近だと三千五百年前に記録があるくらいなのよね。

 だから、早めに出ないと渋谷を飛び出しちゃうかもしれないって言うわけ」

 なんだ、何をいっている? そういっている間にも、私と彼女の間は少しずつ開いていっているような気がする。声も僅かだが低くなっていっているような……。

「あーごめん、ちょっとやばそうだわ。すぐ乗って!」

 彼女はスマートウォッチのようなものちらりと見たあと、少し慌てた声を上げた。

 カブをターンさせて私の荷物を落ちないように前カゴに突っ込み、私の手を引いて座席の後ろに乗るように促す。

 あまりに突然手を引かれたものだから、私はビールのジョッキを握りしめたまま。だけど、本当に急ぐらしく、彼女は準備を続ける。

 私の頭にはあっという間にメットを被せられ、テキパキと指示をされて、私はシートに座った。もちろん、ビールのジョッキは握ったままだ。さらに、無理やり腕を彼女の腰にしっかり当てるように引っ張られる。せめてもの礼儀として、ジョッキをこぼさないように細心の注意を払うが、彼女のたくましいのにキュッと絞られたお腹に抱きついたら、なんだかセクシーさよりも恥ずかしさよりも、頼もしさが勝ってしまった。

「まっずい! この波はヤバいわよ!」

 私を腰に抱きつかせて、彼女が叫ぶ。

 急激に鼻と耳の奥が重くなっていく。空気が薄い感覚がして、思考力が鈍っていく。ゲリラ豪雨の前に、低気圧に弱い人がなるやつ。いわゆる気象病とか天気痛とかいわれるやつだ。

 世界が薄まる感覚、しかし、彼女とカブは全く薄まる気配はない。カブに乗っているからだろうか、私自身の天気痛も収まり、体に感覚が戻って来る。

「ごめん。飛ばすね!」

 いくら私有地内だからといって、原チャが店内を疾走するのはけしからん。けしからんなあと思っているのだけれど、この店が日本全土よりも膨張していくのであれば、早く店から出ないと渋谷に戻れず、家に帰れない。少なくとも、この店内が引き伸ばされているのは視界に入ってくるすべてが遠くなっていることからもわかる。

 すでにカブはフルスピードであり、しかもとんでもなく速い。強い加速Gで私は彼女の背中にメットを預けるほか無かった。彼女のカブの運転には全く迷いはなく、素晴らしいテクニックで奇跡的に避けられた机と椅子がどんどんと後ろに流れていくのが見える。


ズドン!


 体感時間で五分ほどだろうか。彼女の駆るカブは私をぺしゃんこにする勢いで走りきり、店の外に飛び出した。先程の衝撃と音は、店の外に飛び出すときにドアを破る音だったようだ。


 百軒店に停められたカブの上で、ふたりは小さくため息をつきシートから降りる。前カゴに放り込まれた私の鞄も無論無事だった。

「はいこちら、お客様のお荷物になります。お会計は、えーっと三千円にしておきますかね」

 メットを脱いだカウガールに、財布の中から三千円を支払う。

「こちらイートバッグの中にブリスケットが入っています。私としては、冷めないうちにかじりついてほしいな。肉汁が跳ねるから要注意! ビールはこちらのプラカップにいれておいたから、今渡すわね」

 私が手に持っているジョッキを持ち上げると、彼女はサービスです。と言いながら極上の笑顔とでっかいウインクで応え、再びメットを被ってカブにまたがると池尻大橋方面へと走り去っていった。


 彼女と別れて、道玄坂の謎オブジェにもたれかかり、ブリスケットのサンドにかぶりつく。バークと呼ばれる真っ黒な部分。ここが最も特徴的だとメニューに書かれていた。バークの表面に浮いた脂が渋谷のLEDに照らされて、虹のようなきらめきを見せる。パンと共に噛みしめると、しっかりとした燻製香が鼻を抜けていく。サクサクとした食感のすぐあとに、肉汁がこぼれ落ちるほどジューシーな肉の旨味がやってきて、抜群にうまい。

 キンキンに冷えたビールを袋の中に確認し、なぜか持ったままのジョッキからビールをぐいっとあおる。口元をハンカチで拭うと、そこには旨味のしみた脂と、ビールの泡のあとが残っていた。


 すげえ店だったけど、これで三千円は安いな。と思い、私は渋谷駅に向かって歩き出した。

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