ウサギとカメのレースの残酷な真実:勝者は経理係、敗者はUber配達

@sk20313

第1話

ご注意:未成年の方はウサギの同伴のもとでご覧ください


人類の歴史における数々の堅固な盾は、元をたどればある不運な者の背骨から始まったものだ。

かつてウサギとカメのレースで敗北を喫したウサギは、新時代を迎えUber Eatsの配達員として働いていた。そして、あのレースに勝ったカメも応募してきた。カメの短い足4本では、例え摩擦で火花が散るほど頑張っても、ウサギのスピードには到底及ばない。抜け目のないキツネの社長がカメを雇うはずもなく、地殻変動並みのスピードでしか動けない奴を誰が使うというのか?

しかし、霊媒のフクロウが言うには、カメの甲羅の模様は八卦占いと一致し、金運を招くという。そこでカメは一転、マスコット兼財務担当に就任した。キツネ社長は満面の笑みを浮かべた。「ほら見ろ、企業はただの役立たずを養ったりしないんだ。マスコット兼経理、コスパ最高だ!」 これは俺に、ある企業の門前に立つ白い石のライオン像も、ひょっとしたら裏では帳簿付けをしているんじゃないかと思わせたものだ。


ウサギは林間をピョンピョン跳ねながら配達するが、最近は物騒だ。仲間のウサギたちが配達途中で忽然と消え、オオカミの夜食にされたらしい。自慢の「三つの隠れ穴(狡兎三窟)」も、鋭い牙の前では張り子の虎のように脆い。敷居を高くしたり石を積んだり? そんな幼稚な防衛工事は、オオカミにとっては宮殿の前に撒いた画鋲のようなものだ――足に刺さって鬱陶しいが、致命傷にはならない。


ある賢いウサギが(もしウサギに太ももがあったら)腿を叩いて言った。「おい! あのカメの甲羅ってやけに硬いんだろ? あいつを呼んでウチらの穴を守ってもらうのはどうだ?」


ウサギたちは前代未聞のお金(盗んだ可能性も大いにある)を出し合い、茅台酒の瓶にニンジンジュースを詰め、新鮮な若草を摘み、カメ様をウサギ穴へと丁重に招いた。酒が三献も過ぎた頃、ウサギたちは涙ながらに声を詰まらせ、オオカミの脅威の苦しみを訴え、カメ様の不朽の体で穴を塞ぎ、ウサギ国民の安寧を守ってほしいと懇願した。


カメは豆のような目をむいて言った。「老生は堂堂たるマスコット兼財務担当ぞ! お前ら敗者の生きた門閂(かんぬき)になどなれるものか! それに、わしは800年生きる、年金をもらうためにこの身は大事にせねばならん!」そう言うと帰ろうとした。


ここでウサギたちは承服しなかった。世の中にただ飯なんてあるものか! 邪悪な怒りと酒の勢い、それにオオカミに追い回される鬱憤が混ざり合い、赤く染まった数匹のウサギの目は、オオカミの牙よりも冷たい眼差しを交わした。


その後起こったことは、少し子供向けではない。過程は簡略化するとこうだ:月も星もない暗い夜に、ウサギ穴で「ウサギとカメのコラボレーション」が行われ、道具はクーラーボックスと砥石だった。カメが長寿と幸運の象徴として誇っていた頑丈な甲羅は、ハイテクで効率的な方法で剥ぎ取られ、ウサギの主たる穴の入口に、一枚の堅固無比な盾の門のように、ぴったりとはめ込まれた。


リーダー格のウサギは冷たく滑らかなカメの甲羅を撫でながら、トレードマークの大きな前歯を見せて言った。「おっと! 走って勝てなかった相手が、今や我々のために百年モノの盾になって奉仕してくれるとはな。結構なことだ、これでみんな安心して暮らせるぜ」


穴の外からは、オオカミの遠吠えがかすかに聞こえる。穴の中では、ウサギたちがかつての「競争相手」の、ほのかな血の匂いを放つ防御盾門を取り囲み、満足げにゲップをしていた。生存の論理とは、かくも単純で、粗暴で、荒唐無稽で、そして実用的なのだ。結構なことだ、少なくとも今夜の月は安全そうに見える。

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