夜空の声

たなか

第1話

深夜、私はAppleStoreで見つけた[夜空の声]というアプリに目を惹かれた。説明欄にはこう書いてある。


亡き人の声、恋しくありませんか。1日、1文だけ聞くことが出来ます。半信半疑でもいいから短い時間、あの人に会いに行ってみませんか。


ものすごく怪しい。現代の技術なら可能かもしれないが怪しすぎる。とは思ったものの、今日は私のお爺ちゃんの命日。お爺ちゃん、どんな声してたっけ…。

少しだけなら、いいよね。


まんまとダウンロードしてしまった。画面を開いたら何故かそこには死んだ爺ちゃんの名前が。

気になって触れてみると、音声の

◀マークが出た。気になって触れてみた。すると、


「こんばんは。」

と流れた。久しぶりに聞いた、

それは確かに爺ちゃんの声だった。短い文なのに涙が出た。爺ちゃんの生前中、私はあまり爺ちゃんと会話をしなかった。その後悔もあって涙が止まらなかった。

もっと話しておけば良かった。


翌朝、もう一度アプリを開いて

再生すると、

「がんばってください。」

と入っていた。また、泣きそうになってしまった。最近会社で上手く行っていない事もあって目が潤んでしまった。本当はもっと、

爺ちゃんの声が聞きたい。

でも、ここは現実。

だめだ、過去に行くのは。

これからは後悔のないよう

生きよう。

そう心に決め、私はそっと

このアプリを消した。

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夜空の声 たなか @kanata205108

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