第21話、一緒に寝よ

パタリ、と引き戸が閉まる。


部屋の中に、ふたりきり。

夜風の音、虫の声、ちょっとぎこちない沈黙。


「なつちゃん……」


「ん、なに?」


「……あのね、こわかった……」


「……うちもや。めぐるが沈んでいくの、見えたとき……心臓、止まったかと思ったっちゃけん……」


めぐるは、おそるおそる那都の袖をつまんで、引っ張った。


「……いっしょに、寝てもいい?」


「えっ、あっ、う、うちのベッド、狭かけど……」


「せまいほうが……ぎゅってできるやん……」


「~~っ、もぉ~~~めぐるぅ……!」


顔真っ赤でタオルケットを整えて、並んで寝転ぶ。

天井を見上げる。距離は、10センチ。いや、5センチ。


めぐるがそっと、那都の指先に触れた。

絡める。ほどけないように。


「……なつちゃんって、体あったかいね」


「めぐるが冷たかすぎるんやって……幽霊成分……まだ抜けとらんのかもね」


「ふふっ……でも、こうしてくっついてたら、だんだん溶けちゃいそう……」



照明を消すと、ほんの少し、めぐるの髪が光った。

ほのかに淡く、ぼんやりと浮かぶような、その存在。


「……ほんとに、ここにおるんやね……」


「うん……もう、いなくならんよ」


小さなキス音。

ほっぺた、まぶた、指先。

どこかが触れるたび、少しずつ、愛が伝わっていく。


「なつちゃん、知っとる?」


「……なに?」


「“好き”って言葉、言えば言うほど、深くなるらしいよ」


「じゃあ……毎晩言うしかなかね」


「うん……でも今夜は、もうちょっと特別……」



その夜──

ふたりの間には、約束も、契約も、言葉以上の「なにか」が生まれた。


甘く、あたたかく、

ふたりだけの夜が、そっと、静かに更けていく。

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博多ちゃんとおばけちゃん 通りすがり @-141421356-

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