アレを見た僕へ

アレ

ここに来ると思い出す。

3年前の夏、アレを見た時の事を。

得体の知れない……、いや、知りたくもない。アレの正体。

かなり痩せている女性の姿をしていて、年齢は不詳。踵まで伸びた髪の毛はボロボロで、顔は皮膚が焼け爛れ、まるでロウが溶けて固まった様な顔である。右目は外に飛び出し鼻の横まで落ちているのがさらに醜悪さを増しているのである。

あの時アレを見てしまったが故に僕は……。

しかし今更後悔はしない。だがもし、あの日、アレを見た直後の僕に会えるなら言いたい事がある。

「今すぐ手に持ってる包丁で自害しろ」と。