終章:僕は、夢と彼女と共に生きる
第20話:志を忘れてほしくない
2月最初の週末――
(何だか緊張するなぁ……誰か来ないかな)
ホテルの前に着いたが、誰も知り合いに会えない不安からか、このまま入っていいものかと付近をウロウロしていると……
「あれー、朝陽君じゃん」
「やっほー」
1学年上の先輩である
「ど、どうも。那奈先輩に仁奈先輩。お2人も、万真先輩の?」
「そうだよー。寒いし中入ろうよ」
「ですね」
受付を終え控室に到着すると、万真の先輩らしき方々2人程と2学年上の先輩・
「まさか、兄さんが結婚するとは思わなかった。あんなにも姉さん一筋だったのに……」
翔太から初めてこの場で聞かされたことだが、1つ上の実の姉が女性として好きだった万真。だが、今の嫁さんこと
係員より移動の指示があり、チャペル式の結婚式会場へ。朝陽は思わず見惚れてしまいそうだったが気を引き締めた。やがて式が始まる空気になり、タキシード姿の万真の姿が見えた。
(タキシード、似合ってるなぁ……)
式場のドアが開き、ウエディングドレス姿の美玖が父のエスコートの下、共にバージンロードを歩き始めた。
(ウエディングドレス、すげぇなぁ……)
美玖の父から万真へバトンタッチ。神父が誓いの言葉を述べる。
「新郎・万真――貴方はここにいる美玖を 健やかなる時も
「はい、誓います」
「新婦・美玖――貴方はここにいる万真を 健やかなる時も 病める時も 喜びの時も 悲しみの時も 富める時も 貧しき時も 夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい、誓います」
披露宴の時間になるまで、朝陽たちは控室待機。
「あんな結婚式、憧れるなぁ」
「ねー」
那奈と仁奈がうっとりしているのを見ていると……那奈に目をつけられる。
「いつか
「は、はい……」
那奈に耳元で言われた朝陽は、タジタジとそう答えるしかなかった。
(結婚かぁ……万真先輩も、当初はピンときていなかったんだろうなぁ)
披露宴の時間になり、朝陽は写真部時代後輩組のテーブル席に着くことになった。終始和気あいあいとした時間だったが、お色直しを終えた新郎新婦からの挨拶で途中、万真の視線がどこかへ向けられる。
「……実は結婚が決まってから、ある後輩に直接報告をしに行きました。実はその子へ結婚式に招待し、来ていただいてます。……
(ん? 僕……?)
何のことだかと思いながら、席を立つ朝陽。
「――朝陽、フォトグラフィアコンテストの最優秀賞受賞おめでとう」
「……あ、ありがとうございます」
係員より無意識に受け取ったマイクを片手に、お礼をする朝陽。
「君はこの先、1人のカメラマンとして化けると信じている。俺には将来の夢なんて本当になくて、特にこれといったやりたいことはなかったけど、朝陽にはある。写真部に入部してきた時、偉いなと思った。その志は忘れてほしくない。いつか有名なカメラマンになれたら、俺の後輩なんだって周りに自慢したい。……それが、俺がやりたいことかもしれない」
万真の隣で、巫女風の衣装に身を包んだ美玖が深く静かに頷いていた。
「……ありがとうございます。万真先輩の期待に応えられるような、立派なプロカメラマンになります。年月はかかるかもしれませんが……決して屈しません」
那奈や仁奈、翔太の他、他の参列者からも温かい拍手が送られた。人生初めての結婚式参列はこうして、幕を閉じたのだった。
〈先輩の結婚式、無事行ってきたよ!〉
今度は自分の番かもしれないと思いながらも
☆☆☆
一方で同じ日、
「お兄ちゃんの夢も、康貴先輩のお姉さんのことも信じたい。寂しくなるけど、お兄ちゃんが決めたことは、絶賛応援したい」
「……でも、康貴先輩が『行ってほしい』と言葉でも、行動でも示してくれることが先決じゃないかな。そんな気がするんだよなぁ」
「相当気遣って、本音が言えないままかもしれないですしね……」
その頃康貴は……
〈未だに朝陽君のご両親反対してるでしょ? 今の仕事を降りて日本に帰ってくることも考えたけど、朝陽君の未来を守るためにも私が身を引くしかないのかな……〉
今後について悩める姉からのLINEを見て、
「……何でそんなこと言うんだよ」
誰もいないリビングでただ1人、ポツリ憤りを呟いていたのである。
次の更新予定
夢を追いかけた先に、彼女はいる? はづき @hazuki_com
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