第一章 10 精霊と式神
"精霊"と聞かれれば、皆は何を思いつくのだろうか?
万人の人達からしたら、自然と共にある存在であり。
人間よりも、神秘的かつ美しく神々しさをかねそなえたような存在であり。
精霊にも階級をそれぞれに持ち。微精霊、純精霊、大精霊━━そんな分類は、人間が創作の上で勝手に作られた階級制度でしか無かった。
つまり、ここに居る。
金色の綺麗な長髪、今まで人と同じ耳が髪と共に隠れていき。頭からピンッと尖った狐耳が頭からひょこっと。腰から、ふわりと揺れる金色と白色の尻尾も含めて生える。綺麗な両頬に、赤い線が狐の髭の用に浮かび上がる。
白と朱の巫女服が良く似合うような小柄な少女から、貫禄が漂っていた。
━━少女は名乗る。
「わしは、稲荷神社の
それを聞かされて。目が点になった、LASのメンバーは数しれない。
そのなかで、頭を抑えた人がいた。
月宮遥と中野碧の元フランス外人部隊組が、それだった。
月宮遥は、眉間に皺を寄せ。「なんで、また……」と言いたげに不満な表情を、鶴谷修也に向ける。
中野碧は、右手で目元を抑え。団長鶴谷修也の凶行にあきれ果てる。
「ちょっと鶴谷……なんで、この子…このお方ってよべばいいのかな?」
遥は、聞くが。稲荷は、首を横に傾げる。
「別に、好きに呼んでよいよ。」と答えたことにより。遥は、ホッとする。
「んで、なんでこの人を採用したの?てか、精霊を?」
「そうですよ……ほか無かったんですか?てか、もう一人は"能力者"って…」
そう忘れては、いけない。精霊の稲荷だけでなく、鶴谷修也が紹介した能力者の犬神健人も採用したのだった。
和服を着た白髪のメガネの青年、片倉啓介は途中で手を上げる。
「今の調子で言うのもなんだけどさ、俺は"式神'使える」
その発言は、より火に油を注ぐようなもので。
新人の双葉陽子とアグリを含めLASのメンバーは、声を一斉に合わせる「はああああ!?」
もはや、LASは奇想天外な集団と化した。
当たり前だ、一人は精霊ともう1人は能力者に最後は式神使いときた。
普通なら、有り得るわけが無い。いや、有り得ては行けない物がこうやって存在してることにLASのメンバーは頭を抱えた。
そして、なんで。この三人を連れてきたのか?を説明した。
鶴谷は、表情を変えずに淡々と説明をする。
「━━ソナリアンに、狙われていたからだ。」
「━━ッ!」
ソナリアンの存在を知る。新人以外のLASのメンバーは、納得するしか無かった。
もし、仮にこの三人が敵に回ったら色々不都合になる。それどころか、あまりにも未知な能力なため。
それが、ソナリアン側に行き渡るられたらと思ったらと冷や汗をかく
LASのメンバーが稲荷や片倉や犬神に対し不安や畏怖な眼差しを向けると。稲荷は、不安を消し去るような一言を添える。
「━━心配せんでも、わしは戦はできぬ。」
その一言が、周りをホッと一息が着いた。と言うよりも、見た目で判断してはいけないのかもしれないが。
彼女の容姿や愛嬌のせいか、特に強くは見えなかった。
しかし、そこで水を差す者が現れる
「いや、稲荷さん。犬神くんが、能力を発動した時。手刀で止めましたやん。」
空気の読めない団長こと、鶴谷修也である。
今まで、戦わない流れだったのが。
今ので、稲荷も戦闘に参加させると言う流れになりそうになるも、稲荷は苦笑しつつも説明をする。
「わしは、てか精霊は皆。人間片方相手に贔屓はできないのじゃ。力を貸すことも、全部を擁護することすら。許されない領域なのじゃ」
稲荷の言った精霊が無闇に戦えない理由の一つであった。本来、精霊とは自然と共に見守らないといけないのだ。
だが、抜け道はある。
「しかし、どうしてもの時は。わしは、味方じゃよ?」
「どうやって?」
「へぇ!?…いや…その…ナンジャな……」
稲荷は、今から持ってるくると。食堂から、てってって〜って走り出して。部屋から、荷物を取りに向かった。
その姿が、あまりにも愛くるしさに満ちていた。特にふわりとした尻尾が揺れ動きながら、出ていく姿が幼い少女みたいな愛嬌さえを感じさせる。
稲荷の愛おしい背を背景に見て、双葉陽子は思わず。両手を口に抑える。
(か…かわいい〜……)
そう思ってるのは、双葉だけではなかった。クールな表情を変えずにただ、見つめていた。イリーナ・ペドロヴィッチもその一人でもあった。
(か…かわいい…)
もう一人は、瞳にハートが漏れ出てしまうくらい。頬杖してた。カナタ・ハリスだった。
(やぁ〜ん。かわいい!!!)
三人が、メロメロになっている間。
程なくして、てってってと足音が戻ってくる。
稲荷が、唐草模様の風呂敷を手で持ってきて食堂へと来たのだ。
狐耳の少女が
稲荷は、風呂敷を食堂のテーブルに起き始める。
「今から、お主らに御守りを渡す」
稲荷は、ふわりと尻尾を揺らしながら近づき。指先から、紅い布地と金色の紐が揺れる御守りを団長である、鶴谷修也を順に渡していく。
差し出された、御守りはがすっぽりと収まる
「これは?稲荷さん。」
鶴谷が、聞くと稲荷は優しく微笑みながら
「わし、お手製の御守りじゃ。これさえ有れば、わしはお主らを手助けが出来る…」
「そうなんかぁ。」
稲荷は、首を縦に振る。
「じゃが、完全な戦闘への参加になると重い条件がつけれるのじゃ」
「例えば?」
稲荷は、内容を話すのが恥ずかしいからか。目線が横に向き少し頬を赤く染めてピョコッとしてた耳もペタンと閉じて、しっぽが弱く揺れ始めた所が恥ずかしさを隠し切れ無いところ犬神は、空気を読んで話を変えに来る。
「取りあえず、稲荷は無闇矢鱈に戦闘への参加は出来ないってことだけをわかって欲しい。鶴谷さん」
「まぁ、わかったよ。」
稲荷は、ホッと胸を撫で下ろし。小声で犬神に感謝した。そこで、稲荷は全員に伝えた
「わしは、戦闘への参加は無理かもしれんが。身の回りの雑用はやっておくぞ。」
「それなら、助かる」
片倉は、少し懸念するような表情になった。片倉自身、稲荷には恩もあったため。稲荷一人に、雑用をやらせるのもどうかと思った。
「稲荷さん、俺も雑用手伝いますよ。」
「啓介、ありがとうな。でも、お主は戦えれるだろ?」
「そうですけども……」
「なら、気にせずに…」
「いや、精霊様に雑用させるのもどうかと思いますけどね!?」
ここにいる、全員が今ので納得した。
それは、そうだ。可愛らしい狐少女な見た目をしているけども。精霊であることには変わりなかった。普通に考えれば、罰当たりにも程がある。しかし、稲荷はプフっと吹き出し。
「なにも、気にせんで良い。精霊だから、偉いとかないもんじゃし」
犬神や片倉を含めた全員が声を揃えて
「━━器デカッ!」
稲荷は、声揃ったことにフフフと笑みを浮かべる。
「ワシのことは、聖霊として敬うのではなく。ただ、稲荷として見ておくれ…」
稲荷は、ペコッと頭を下げてお辞儀をする━━
△▼△▼△▼△
片倉啓介は、自ら式神使いと名乗った事もあり。
みんなの前で、式神を召喚する。ちなみに、鶴谷修也は、召喚方法を知っていたため本日で二回目となる。
「それじゃあ、召喚するぞ」
片倉は、懐から。兎の形に折られた紙をテーブルに置く。
「出ろ…"白兎"」式神の名前を発したことにより。折り紙の下から煙がボワッと吹き出し。兎に折られた折り紙がみるみると見た目が変わっていく。
神秘的な光景に感じた、紙だったものが生物に成り果てていくのだから。
折り紙から白いうさぎへと変わった
━━式神。白兎が姿を現した。
小さく、雪うさぎのように毛並みは白く。レッドストーンのように赤い瞳が周りを見渡した。右側のおしりに三日月の中にウサギが跳ねてるようなマークが施されている。
うさぎ特有の鼻をヒクヒクする動作が、あまりにも愛嬌をかもちだす。
カナタは、白兎の可愛さのあまりに「キャー!!」って両手で頬杖をつきながら。白兎の愛嬌に目を奪われた。
「団長〜、可愛い子をまた誘ったの〜?もう〜稲荷ちゃん然り次は式神の白兎ちゃん?」
「そんなつもりは、なかったけどね。」
白兎は、瞼を閉じてペコッと頭を下げる。
その仕草が、あまりにも愛くるしい差で女性陣やカナタも思わず、虜になった。
(かっ…かわいい!!)
その光景に、白兎は状況を把握したのか。
『初めまして、皆様。片倉様の
鶴谷以外のみんなは、声を揃えた
「ウサギが喋った!!」
『まぁ、式神ですので……。』
鶴谷と同じ反応されたことには織り込み済みなため。
白兎は、特に驚かれても。なんも気にしてなかった。
「いいなぁ、片倉くん…式神。使ってみたかったなぁ…」
「ほんとそれよ。わたしも、使いたいわ」
鶴谷修也とカナタは、片倉が式神を扱うのを羨望な眼差しを向けるも。
片倉は、手を横にブンブン振り否定する
「実際、大変なんだわ。式神を使うと"五感"を共有する羽目になるからな。それを、どうにか遮断するのに苦労するんだわ」
片倉が言うように式神の契約には代償が伴われる。それは、術者自らの感覚を半分預けるような行為に近い。
視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚━━
全ての五感を共有することが、前提条件になる。
あまりにも代償が重く。
式神が見たもの、触れたもの、聞いたもの、食べたもの、嗅いだものの全て、術者にも影響するため。
脳の機能的負荷を背負う羽目になるため。
現に、片倉が遮断できてる感覚は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚の四つを遮断させれてる。
制御に慣れるまでには、相当の年数を積み重ねなければならなく。現に、片倉は、遮断させるのにも二年はかかったらしい。
「今は、白兎だけ使ってるが。あと残り三つの式神を扱えるよ。」
「すげぇ!!仮にだけど、他にも式神いるんかな?白兎とかその残り以外の?」
鶴谷の質問に対して、稲荷は少し切なげに返す。
「もう、ほぼないんじゃよ。式神を呼び出すような書籍はの」
「もう、本当に何も?」
「うむ、なーんにも」
その通り、何も残されてない。式神の書籍は、もうほんの昔に燃やされていて。何にも残されては居ないのだから。
「んじゃ、今あるのは片倉くんの使役しただけってか…」
「そんなとこですね。」
鶴谷が少し落胆的にも、なるが。ほんの少しだけホッとした。なんせ、仮にまだ残ってると仮定していたら。きっと、更に強敵が溢れかえっていたのだから。
「まぁ、そんなのはさて置き……不束なものではありますが、よろしくお願いします。」
片倉は、稲荷と同様に静かに頭を下げ、誠意を見せた。
△▼△▼△▼△
精霊と式神使いの二人を見て、ただこの男。赤羽隼人は、一人だけに引っかかるものを感じてた。
それは、能力者と紹介された。
━━犬神健人のことだ。
赤羽は、鶴谷修也に犬神健人という能力者について。聞きたいことがあった。いや、犬神健人についての事を聞きたいがため、鶴谷修也を呼びつけ。廊下へと誘う。
「なぁ、団長。犬神健人についてだがな…」
「お前なら、聞いてくれると思ったよ。」
赤羽が聞きたかったこと。その一つは、犬神健人の能力についてだった。
「犬神くんの能力は、獣化らしい…。特に、モデルは狼だ」
「そうかぁ……。俺と聞いた能力者とは違ぇな」
「と言うと?」
赤羽は、頭を掻きながら。苦虫を噛み潰したような表情になり、こう答える。
「俺だって、元武器商人だ。能力者の実験のいろは位聞いたことあるんだよ」
その事で、鶴谷修也の表情が変わったが。赤羽は、片手を前に出し。「まぁ、落ち着け」と呟く。
「その開発に関しては、俺は大の反対派だよ。三年もココにいたら…わかるだろ?」
「そりゃ、そうだったな…すまない」
赤羽隼人は、武器の製造や販売に関わっていたとはいえ。能力のない人を、人体実験してまで能力者にするようなのは、人の尊厳を土足で踏みにじるような行為に値する。
赤羽隼人にとって、そのような能力者開発には忌み嫌ってた。
しかし、能力者開発の経由自体は脳神経外科の新技術として取り入れるものとしてのはずだった──
「元々、能力者の開発って言うが。本当は、脳に障害を受けてる人に向けての治療法だったんだ。」
脳の障害によって引き起こる。記憶能力、言語能力、注意力、感情、の一部を欠如してしまった人たちを救う手立てとして、開発される予定にあった治療法を考えた人物がいた。
「それって?」
「
「篠宮ってあの……はっ!思い出した財閥の会長か!」
篠宮財閥とは、日本国内でも最大規模の医療コングロマリット。
総合病院チェーン、医薬品メーカー、医療機器開発、バイオ研究や救急事業の様々な"命に関わる"分野として複合的な巨大企業グループ。
篠宮淳一の掲げるモットー『手を伸ばしたら━━必ず離さない』彼の掲げた、救える命を見捨てず、助けれる命を限りなく救う事だった。
哀しきか、篠宮淳一の優しくも力強いモットーを何者かによって歪められてしまったのだから━━
LAS:インビジブル・ウォー ジークンポート @gptj
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