第一章 9 アグリ・ア〜グリ
スーツケースの中から、猫耳のフードを深く被り。眠そうな虚ろ目で、何を考えてるか分からない。表情がしたをむいてるからか。上手く、読めない。
ただ、見た目からして。小柄な体型で。背丈にあっても無いオーバーサイズのパーカーを身にまとってる。
カナタ・ハリスから、彼女の名は【アグリ】と言うらしい。彼女が、顔を上げると。小柄な体型もあって、顔つきが中学生くらいの見た目で学生服とか着てても違和感がないくらいに幼く、眠そうな翡翠の瞳をこちらに向けている。
そのことから、察するに。
皆が初めに浮かんだ言葉は「誘拐」だ。
カナタ・ハリスは、アグリと名乗る少女のことを誘拐したのだと周りの皆はそう思った。しかも、九六リットルのスーツケース内に少女を入れてLAS基地に出迎えることを考えた。カナタ・ハリスの狂行に、周りのメンバーは寒気で引きだす。
月宮遥を含む。女性陣は寒気で両腕を抱え青ざめ、女児誘拐班を見る、蔑むような目でカナタを見下ろす。
鶴谷修也とかの男性陣は、怒りで眉間に皺を寄せ睨みつける。
「カナタさん……てめぇ、誘拐したのか!!」
赤羽が、血相変えて。カナタ・ハリスに胸ぐら掴んで殴りかかろうとすると。カナタは、何か勘違いされたかと思い、全力で否定するのと。殴り掛かる拳をなんとか受け流し。赤羽隼人を、落ち着かせると同時に、誤解をとこうとする。
「ちがうのよ!!この子は、自らこの方法で日本へ渡航したのよ!」
「だとしても、他にも方法があるだろ。こんな、幼い子を良くも。基地へ」
その通りだ、見た目でいえば未成年にも見える少女だった。このことに関しては、誤解されても何も言い返えすじまい。
「確かに、彼女は見た目は幼いけれども。……」
「何も、言えねぇじゃねぇか!」
鶴谷は、片膝を崩し。アグリの目線を合わせ「大丈夫か?」と尋ねると。アグリは肩をピクりと上がったような反応した。
しかし、これは泣きそうで肩が上がったのではない。よく見ると、顔色も青くなってて体調が悪かった。
そのことから察するに
「ーーウプ……」
(あっ、これ……俺でもわかったわ……)
ーー鶴谷修也が察したその瞬間
オエエエエエエエエエエエ
「うわぁ!大丈夫かぁ!?」
今まで、スーツケースの中では息苦しくもあり。酸素を送らせる装置みたいなのは、付いてはいても。スーツケースの中は、窮屈で居心地は悪く。気分が悪くなり
そりゃ、そうだ。アグリはあの狭いスーツケースの中で居続けていたのだ。その中で、グワングワンっと揺れたり。ついさっき、鶴谷修也が無神経にも銃撃戦の流れ弾を防いで。ガンッと被弾を弾いた音もなったりしたら、何も状況確認も分からないからい状況と揺れたり、死の淵に合わされたことにより。今まで、我慢してきたものが、
「あらあら、大丈夫?」
「ほら、お水飲めるか?」
カナタは、アグリの背中を撫でるように優しくさすり。荒井は、ペットボトルの水と。吐瀉物が残った口を綺麗に出させるために洗面器を、シャワー室から取り出して。アグリに差し出す。
アグリは吐いた苦しさで若干涙目で、吐いたあとの喉の痛みで、アグリはか細い声で「ーーありがとう」って水と洗面器を渡してくれた荒井京子と背中をさすって楽にしてもらった。カナタに感謝をする。
「はぁ……はぁ……ウップ……」
「無理は、しなくていいから。」
カナタが、アグリの背中を優しく撫でる。
アグリは、口の中に残った酸を水で口の中をゆすぎ。ぺっ、て吐き出す。
オレンジ髪の長髪の巫女服少女のイナリと白髪の和服を身に纏った青年の片倉啓介は、吐瀉物で汚れた床をトイレットペーパーなどで、被せて拭き取る。
「大丈夫か?アグリって申しておったの…わしは、稲荷じゃ。」
「俺は、片倉啓介だ。頼ってくれ……」
二人は、アグリの目線を合わせ。優しく自己紹介した、アグリは人見知りなのか。首をコクっと会釈で返す。カナタは、ホッとし。改めて、アグリという女性の説明をする。
「彼女は、見た目こそ幼いかもだけど。成人はしてるわ。そこだけは、誤解を解いてちょうだい」
「ーー幼い言うな。」
「なんなら、実力は本物よ。ハッキングとかそういうのはね」
カナタから、幼い言われ。少し、不機嫌に表情をムッと変える。まぁ、何せ本人からしたら。コンプレックスを大体的に発表されるもんだから。
だが、実力を認められるのは悪い気はしない。
鶴谷修也は、手に顎を乗せ。納得する
「確かに、ウチにはサイバーに関して詳しいやついなかったわ」
「でしょ〜。だからよぉ、そ・れ・に〜…」
「それに?」
今まで、強ばっていた表情がだんだん緩くなって口角が上がり。にんまりした表情で、カナタはアグリを背後から、腕をまわし抱きしめる。床に嘔吐したばかりで、服も吐瀉物が飛び散っているのにも関わらず。カナタは、アグリを抱きしめ、頬ずりする。
「可愛いんだもの〜」
「ーーそんな理由…」
「そんな、理由」
カナタは、ご満悦そうに。返すが、抱きしめられてるアグリ本人は結構、迷惑そうにしてた。飼い主が、猫をベタベタと触れられて抵抗できずにただ、ジトッとした視線だけがカナタに向ける。
一応、忘れては行けないが。彼女は、猫ではない。小柄で童顔な顔つきだが、れっきとした成人女性だ。
カナタ・ハリスは、彼女を猫のように愛でるからか。愛でられてる本人からは、「離れてほしい」とか「暑苦しい」と迷惑そうに抗議するような目線をカナタに向けてた。
アグリは、目の前にいた。鶴谷修也っていう男に「助けて」と懇願するような目線を向けられたので。鶴谷修也は、やれやれと思いつつ。カナタを静止する
「ほら、辞めとけ。嫌がってるから」
「やぁん、悲しい〜」
鶴谷は、ほらほらっとカナタのスキンシップを止めさせるようにするとアグリは、ホッと開放されたと安心するが。カナタは、その様子に寂しいと思いつつも。素直に受け入れる。
「忘れてたけども、修也くん。アグリちゃんに謝っておきなさい」
「へ?」
「ほら、銃撃戦で。一回、スーツケースを盾にしたでしょ」
「そういや……ーーそうだわ。」
カナタは、「あっそうだ」と何かを思い出したかのように言い出すと。鶴谷は、すっかりそのことを忘れていた。盾にされてたのを、アグリは聞き逃さなかった。「スーツケースを盾にしたこと」ってセリフでアグリの耳はピクっと反応した。
今一瞬、猫耳の着いたフードがピクっと動いたような気がしたが。多分、気のせいだと留めておこう。
鶴谷は、アグリの目線に合わせるように。膝を曲げしゃがむ。
「あの時は、本当に申し訳ない。無神経にも程があった、ごめんね。自己紹介がまだだったね。俺は、鶴谷 修也。LASの団長をやってる。これからも、よろしく」
鶴谷は、少し気まづかったが。それでも、これから仲間としてやっていく一人を、素っ気なく対応するのも良くないって思い。毅然とした態度で、謝罪をしつつ握手を交わそうとする。
(ここの団長で…ついさっき、あたしを盾にした人ねぇ…)
アグリは、ジッと睨みつけるが一瞬で二っと笑顔で返す。
「よろしく。だんちょ〜さn」
ーー笑顔で返し大きく口を開け、八重歯がギラついたその時だった。
ガブッ
アグリは、鶴谷が握手を差し出した手を思いっきり噛み付いた。
自分が中に入ってたスーツケース銃撃戦の盾にされた恨みを込めて思いっきり噛み付いた
「いっでええええええ!!! 」
「 おあかったんだぞ!!ひぬはとおもっはんはぞ!!」
利き手の指を思いっきり噛み付かれた。基節ごと、アグリの口内に入ってる。一度、嘔吐して口の中を水でうがいしたとはいえ、気分的にも不快な上に指の感覚がなくなるんじゃないかってくらいに歯が基節に食い込む、小指や人差し指が第1小臼歯から奥歯まで深く噛み付いていた。
「いでででで!!ごめんって!マジでごめんって!許して!許して!」
「ゆゆひゃない!!はみひぎっへやう!!」
「いや!犬か!!」
鶴谷からしたら、まさか人が入ってるとは思いもしなかった。とはいえ、大事なものって言われたものを無神経に盾にして中身が無事であるとはいえ。鉛玉が、スーツケースに被弾して貫通に至らないくらい頑丈な作りでも。アグリ"本人からしたら死ぬような思いをさせられたようなもんだから、噛み付くも同然
「あぁ、こら!アグリちゃんやめなさい!離してあげて」
カナタは、焦って。噛み付くのを止めさせるように促させようと、静止させる。
「修也くんだって、わざとじゃないのよ。まぁ、良くないとはいえ。噛みちぎろうとしないでお願い」
「ううううう!」
「ビールあるから…ーーね?」
「……」
カナタの必死な説得で、アグリは噛み付いてた鶴谷の指を口から離す。
噛まれた中指と小指は歯型が残るような形になっていて白く変色しかけてた。爪の先から基節部分は、唾液まみれになってて不快感とじんわり痛みが残る。
「もう、やらないから。噛み付くとか犬かよ」
「犬じゃなーーい!!」
シャー!!!って猫が、威嚇するように肩を逆立てながら。半目な瞳が、鋭く睨みつける。その様子があまりにも猫っぽく見えているから。鶴谷修也以外の人物からも「猫だ…」って思わず口からこぼれてしまった。
「はいはい、もう。おしまい、鶴谷くん怪我は?」
「歯型が残ってじんわり痛い」
荒井は、鶴谷の噛まれた指をみて。白衣のポケットから白いハンカチを取り出し。鶴谷に渡す
「とりあえず、はい。ハンカチ」
「ありがとう」
鶴谷は、唾液まみれになった指をハンカチで拭う。が、唾液特有の生臭い匂いが残ってるため。後々、手を洗おうと思った。
カナタは、アグリの機嫌を損なわないように。食堂の冷蔵庫から。キンキンに冷えた缶ビールを、アグリに手渡す。
「はい、どうぞ」
アグリは右手で、発泡酒を受け取り。
「ありがとう。」
親指でプルタブを起こす。
ーープシュッ。
軽い泡の香りが広がり、本来のビールより薄いスッキリとした匂い。
アグリは、空きっ腹の中で発泡酒を一気に飲み干す。
「ぷはァ…発泡酒もなかなか美味いね。」
鶴谷は、アグリの晩酌の背景があまりにも珍妙に感じた。アグリの見た目が幼いせいも有り、中学生が飲酒してる姿に見えてしまった
「本当に成人してるんよな?背景が、未成年飲酒に見えるんよ」
「鶴谷…それを、言っちゃダメよ」
鶴谷のデリカシーの無い一言を横に呆れて思わず、ジトッと視線を返す月宮遥。
今現在 ビールを味わってご満悦な表情から、余計な一言を言われた事で目元をムッと目くじらを立て不機嫌になる。
「一応、言うが。お前らより年上」
「まじ?」
「え?」
アグリの年上発言され、鶴谷と遥はキョトンとした。さっきのセリフは本当のなのか気になった為。カナタに、目線を合わせると。カナタは、優しく頷く。
「えぇと、アグリ…さん」
「"アグリ"でいい。さん付けはいらない。あんたが、団長なんでしょ?あんたが、上司であたしは、部下。はら、いらない」
「なら……ーーわかった。」
「うん。母国のビールの方が美味いな」
「ドイツ出身なの?」
「そだよ」
思わず、鶴谷と遥と吐瀉物を拭き取って掃除し終わって戻ってきた。片倉と稲荷も、同時に「へ〜」って声が合わさるように頷いた。声が同時に響いたのか、アグリはちょっと照れくさそうにする。ただ、出身を言っただけなのに。珍しそうな目で見られたのが、恥ずかしくなり。カナタに、発泡酒をもう一杯を頼もうとする。
カナタは、「はいはい」と困りつつも。アグリの為にまた、食堂から持ってくる。
△▼△▼△▼△
双葉は、ふと思った。
そういえば、触れてないけど。なんで、稲荷というオレンジ色の長髪の巫女服の女の子と革ジャンのオッドアイの犬神健人という青年を連れて来たのだろうと思った。
まだ、片倉啓介は陸自で少しの間だけ。戦闘を経験はしてるという事だけなら分かる。
だから、こそ気になり。鶴谷修也に聞き出す。2人を、採用した事をーー。
鶴谷修也がどこにいるか、探していた時。鶴谷修也を探してる双葉を見ていた遥は、「洗面所にいるよ」って教えてもらったため。洗面所へ向かうと。
「あの、団長。聞きそびれてことがありまして。」
「ん?いいよ。なにが、聞きたい?」
双葉は、オレンジ色の巫女服少女のこと。革ジャンの猟師の青年について聞いた。
鶴谷は、表情を変え真剣な眼差しで双葉陽子に言う。
「とりあえず、みんなを食堂で集まらせてくれ。」
「なぜに、食堂を?」
「まぁ、稲荷さんに伝えといたんよ。歓迎会やるってそしたら、本人は『なら、料理を担当しても構わんかのぉ?』って言われたから。」
双葉は、ちょっとだけ献立が気になったが。
それは、そうと鶴谷修也が重要な発表すると言われ。
双葉は、みんなを食堂へと集まらせようと知らせへと回った。
鶴谷修也の呼びかけで、全員が集まった。
特に、前に出ていたのは。オレンジ色の長髪巫女服の稲荷と。革ジャンを羽織ってるオッドアイの犬神健人が前に出ていた。
鶴谷が二人のことを話すということで。
先頭に立って、告げた。
「彼らを採用したことに、疑問ある隊員がいたから。今から、説明する……。大丈夫か?」
鶴谷は、稲荷と犬神に視線を向けるが。二人は、どの道、バレることを前提にここに来ていたので。今更感があり。そのまま、首をこくっと頷く。
それにより。鶴谷は告げる
「ーー犬神健人くん……彼は、能力者だ。そして、稲荷さんは……信じれ無いかもしれないが。彼女は、精霊だ」
全員が、驚愕の表情をしたのと同時に。稲荷の正体を知らされたことにより。あまりにも、非現実的で脳の処理能力が追いつかない。
「まぁ、こうなることは察してたわい。わしは、精霊じゃ。嘘偽りもなくな、信じれんかもしれんが。これが、事実無言の証拠じゃ」
稲荷は、自身の狐耳と尻尾を隠していたため。隠すのをやめ、正式に耳としっぽを生やした瞬間。
「へ?」
稲荷の正体を知る者以外の目が点になった。
ーーだが、その横目に不服そうに見つめていたのは。紛れもなく、犬神健人であった。
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